香港の大学に設置されていた、天安門事件の犠牲者を追悼する像をめぐって、大学は「法律違反となるリスクを避けるため」として、みずから撤去しました。 香港では、反政府的な動きを取り締まる香港国家安全維持法による摘発が相次ぐ中、自主規制の動きが広がっています。 この像は、1989年、北京で民主化を求める学生たちの運動が武力で鎮圧され大勢の死傷者が出た天安門事件の犠牲者をモチーフに、デンマーク人の芸術家が制作しました。 苦悩に満ちた人の顔を積み重ねた高さ8メートルの像は、1998年から香港大学の構内に設置され、事件の真相究明を求める市民団体や学生たちが毎年、像の前で追悼行事を行ってきました。 しかし、市民団体の幹部らが香港国家安全維持法に違反した疑いなどで相次いで逮捕されたあと、親中派の議員や政府寄りの新聞が「像の展示は中国政府に対する憎悪を引き起こす疑いがある」などと指摘していました。