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「資本主義終焉論者」に欠落している重要な視点
山下範久(以下、山下):たしかに昨今は、資本主義の限界ということが盛んに論じられるようになりまし... 山下範久(以下、山下):たしかに昨今は、資本主義の限界ということが盛んに論じられるようになりました。気候変動や格差拡大を見れば、資本主義はもう終わりに近い。だから、新しいシステムに変わらなきゃいけないんだという主張が耳目を集めていますね。 一方、今年邦訳された『資本主義だけ残った』(みすず書房)の著者、ブランコ・ミラノヴィッチのように、かたちはどうあれ資本主義しか残っていないという議論も、現状をふまえれば説得力があるように感じられます。 その点からいうと、『生命の網のなかの資本主義』はどちらとも取れる本だと思います。ただ、訳者としては「よりよい資本主義」を考える方向で読んだほうがおもしろいと言いたい。少なくとも、単純な資本主義終焉論としては紹介したくないという思いはあります。 じつは著者のムーア自身は、マルクス主義の系譜で、資本主義は敵だと考えて活動している人です。だから本人の前で「この本