欧米諸国主導の「国際社会の法の支配」は破綻を迎えている 1月26日金曜日、国際司法裁判所(International Court of Justice: ICJ)のガザ危機をめぐる仮保全措置の命令が下された。ジェノサイド条約に基づいて、イスラエル政府にジェノサイド的行為を慎み、予防することを求めた内容だ。この命令は法的拘束力を持つ。 ICJは、「世界法廷(world court)」とも呼ばれ、国際法の解釈に関しては他の機関の追随を許さない絶大な権威を持つ。そのICJが行った判断は、世界各国の政府の行動に、将来にわたって影響を与え続ける。 もちろん法的拘束力のある決定を行ったからといって、ICJが自らの決定に諸国の政府を従わせる実力を行使することができるわけではない。しかしそれにもかからず、 法解釈から思想や世界観といった広い領域での道徳的影響力の浸透を通じて、ICJの判断は政治的な重みを持