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ブックマーク / eulabourlaw.cocolog-nifty.com (143)

  • マイケル・リンド『新しい階級闘争』@『労働新聞』書評 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    近頃世界的に無責任な言説をまき散らすポピュリストが蔓延して困ったものだ、・・・と感じている人は多いだろう。しかし、これは階級闘争なのだ。知的エリート階級に経済的のみならず知的にも抑圧されているノンエリート労働者階級の「反乱」なのだ。 「階級闘争」という言葉は時代錯誤に見えるかも知れない。かつて産業革命時代に資家階級と労働者階級の間で闘われた熾烈な階級闘争は、20世紀中葉に労働組合による団体交渉と福祉国家を基軸とする階級平和に移行し、マルクスの教えを古くさいものとした。だが20世紀の末期、再び階級闘争の幕が切って落とされた。先制攻撃を加えたのは経営管理者と専門職からなる知的上流階級だ。経済停滞の元凶として労働組合と福祉国家が叩かれたことはよく知られている。しかし、ネオ・リベラリズムによる経済攻勢と手に手を取って粗野な労働者階級文化を攻撃したのは、左派や進歩主義者たちによる反ナショナリズムと

    マイケル・リンド『新しい階級闘争』@『労働新聞』書評 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
  • 桃色争議 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    朝の連続テレビ小説「ブギウギ」は、いよいよ桃色争議が佳境に入っていくようですが、そういえば2年前に紹介した『日人の働き方100年 定点観測者としての通信社』に、この桃色争議の写真があったのではないかと思い出しました。 テレビでは「梅丸少女歌劇団」となっていますが、もちろんこれは現実に存在した松竹少女歌劇団のことです。この少女たちが、1933年(昭和8年)に起こしたのが、有名な桃色争議です。 『日人の働き方100年 定点観測者としての通信社』に載っているこの写真は、東京の水ノ江滝子を中心とする争議団で、大阪の三笠静子(テレビでは福来スズ子)らが参加したものではありませんが、でも当時の争議の雰囲気が良く伝わってきます。 多くの人は勘違いをしていますが、戦時体制下に近いこの時代でも、今日に比べると遙かに多くの労働争議が起こっていたのです。 この1933年には、全国で1897件の争議が起こり、

    桃色争議 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
  • ポピュリスト急進右翼の福祉国家へのインパクト@ソーシャル・ヨーロッパ - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    例によってソーシャル・ヨーロッパから、ジュリアナ・チュエリの「The populist-radical-right impact on the welfare state」(ポピュリスト急進右翼の福祉国家へのインパクト)。 https://www.socialeurope.eu/the-populist-radical-right-impact-on-the-welfare-state Radical-right parties are transforming the welfare state, recreating a moral separation between the ‘deserving’ and ‘undeserving’. 急進右翼政党は福祉国家を改造し、「値する者」と「値せぬ者」の間に道徳的分離を再び設けようとしている。 彼女は、右翼政党が福祉や再分配を強調するのを単

    ポピュリスト急進右翼の福祉国家へのインパクト@ソーシャル・ヨーロッパ - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
    nagaichi
    nagaichi 2023/04/24
    より努力した者が報われるべきだという素朴な公平感が再分配を歪め、政治的な選別と分断に利用されるのか。「値する者」と「値せぬ者」の選別は「生きるに値しない命」をソフトにしただけでは。
  • カール・マルクス『一八世紀の秘密外交史』 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    カール・マルクス『一八世紀の秘密外交史 ロシア専制の起源』(白水社)をお送りいただきました。 https://www.hakusuisha.co.jp/book/b621504.html と、書くと、えっ?と思われる方も多いかも知れません。 いや、正真正銘の、あのひげのおじさんのマルクスのです。ただし、浩瀚なマルクス・エンゲルス全集には収録されていない稀覯論文です。 なぜ収録されていないか?それは、レーニンや、とりわけスターリンの逆鱗に触れるような中身だからです。 タタールの軛がもたらしたものは? なぜロシアは膨張したのか? クリミア戦争下構想され、数奇な運命を辿ったマルクスによるロシア通史。 「ロシアが欲しいのは水である」 資主義の理論的解明に生涯を捧げたマルクス。彼はこの『資論』に結実する探究の傍ら、一八五〇年代、資の文明化作用を阻むアジア的社会の研究から、東洋的専制を発見する

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  • 正社員の初任給に最低賃金が迫るのは異常事態なのか? - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    いや別に、筆者の溝上さんやメディアのビジネスインサイダーに文句をつけているというよりも、それを「異常事態」だと脊髄反射的に感じてしまう日人の「常識」に疑問を呈したいのです。 https://www.businessinsider.jp/post-260734(正社員の初任給に「最低賃金が迫りつつある」異常事態。このままでいいのか?) ・・・正社員の給与が上がらない日だが、今や行政が主導する「最低賃金の引き上げ」が、正社員の賃金の上昇を上回り、最低賃金に応じて給与を引き上げるという事態すら起きている。 ・・・それだけではない。上がらない賃金を象徴する異常な事態も発生している。正社員の賃金を非正規主体の法定最賃が徐々に追い上げているのだ。 ・・・もちろん最賃アップの影響を受ける社員の中には大企業の非正規社員も含まれているが、正社員の中で最も影響を受けているのが高卒初任給だ。 たぶんここまで

    正社員の初任給に最低賃金が迫るのは異常事態なのか? - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
    nagaichi
    nagaichi 2022/10/23
    俺も元記事みたときそう思ったし、ブコメではそういう趣旨のコメントした。実際現場では下手な正社員より働くベテランバイトが現に存在する以上、バイトの賃金が正社員を上回る現象があっても何も異常ではない。
  • 世界の中で日本だけ賃金も物価も上がらない理由ー日本経済を陥れた「労使協調路線」という呪縛@黒崎亜弓 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    東洋経済オンラインに、黒崎亜弓さんが「世界の中で日だけ賃金も物価も上がらない理由ー日経済を陥れた「労使協調路線」という呪縛」という記事を書かれています。わたくしへのインタビュー記事です。 https://toyokeizai.net/articles/-/616244 ・・・では日だけがなぜ、賃金も物価も上がらない状態が続いてきたのだろうか。 「それはオイルショックの時の成功体験が呪縛となっているからです」 こう見立てるのは、労働政策研究・研修機構労働政策研究所長の濱口桂一郎さんだ。最近取り沙汰される「ジョブ型雇用」という言葉の“生みの親”でありながら、ちまたのジョブ型推進論の誤解を解くのに忙しい。濱口さんは日の雇用システムを「メンバーシップ型」と名付け、他国の「ジョブ型」との違いを整理している。 オイルショックといえば1970年代の出来事。もはや歴史の領域だが、今とどうつながるの

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  • 習近平の歴史観が鮮明に-潘岳『東西文明比較互鑑-秦・南北朝時代編』 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    『労働新聞』に月1回で寄稿している書評コラムですが、今回は潘岳『東西文明比較互鑑-秦・南北朝時代編』です。 https://www.rodo.co.jp/column/136494/ 潘岳という名前は、よほどの中国政治の専門家でないとあまり知られていないかも知れませんが、今年6月に国家民族事務委員会主任に就任したばかりの中国の少数民族政策の大元締めです。 コロナ禍の収まらぬ現代世界で、プーチンのロシアウクライナに侵攻し、習近平の中国はウイグルなど少数民族を抑圧し、香港を圧殺し、台湾を恫喝する。そうした帝国主義的行動の背後にどのような思想があるのか、いかなる歴史観に動かされているのか、隣国日の住人として関心を持たざるを得ない。ウクライナ民族の存在を否定し、大ロシア民族の裏切り者とみなすプーチン史観はまだ分かりやすい。しかし、声高に「中華民族」の統一を掲げる習近平史観は分かりにくい。 それ

    習近平の歴史観が鮮明に-潘岳『東西文明比較互鑑-秦・南北朝時代編』 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
    nagaichi
    nagaichi 2022/09/09
    会田大輔『南北朝時代』(中公新書)p.259「北朝・南朝を生きた人々は、激動の時代を生き抜くために試行錯誤を重ねていたのであり、当然のことながら隋・唐に制度を伝えるために生きていたわけではない」を引いとく。
  • ナチス「逆張り」論の陥穽 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    昨日の朝日新聞の15面に、「逆張りの引力」という耕論で3人が登場し、そのうち田野大輔さんが「ナチスは良いこともした」という逆張り論を批判しています。 https://www.asahi.com/articles/ASQ5S4HFPQ5SUPQJ001.html 私が専門とするナチズムの領域には、「ナチスは良いこともした」という逆張りがかねてより存在します。絶対悪とされるナチスを、なぜそんな風に言うのか。私はそこに、ナチスへの関心とは別の、いくつかの欲求があると感じています。 ナチスを肯定的に評価する言動の多くは、「アウトバーンの建設で失業を解消した」といった経済政策を中心にしたもので、書籍も出版されています。研究者の世界ではすでに否定されている見方で、著者は歴史やナチズムの専門家ではありません。かつては一部の「トンデモ」に限られていましたが、今はSNSで広く可視化されるようになっています

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  • 今年1年間『労働新聞』で12冊を書評 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    今年は1月から、『労働新聞』紙上で毎月1回、「Go to 書店」という書評コラムを書くことになりました。12冊の選び方に対してはいろいろとご意見のあるところかもしれませんが、わたくしとしては毎回楽しく書評させていただきました。 松永伸太朗 『アニメーターはどう働いているのか』 書は令和2年度労働関係図書優秀賞を受賞した作品だ。著者には昨年12月、私の司会で労働政策フォーラム「アニメーターの職場から考えるフリーランサーの働き方」の基調講演とパネルディスカッションにも出演していただいた。 昨年来のコロナ禍で、フリーランス対策は政府の大きな課題になりつつあり、その中で注目を集めているのが、書のテーマであるアニメーターである。何しろ、いまや日の国策となったクール・ジャパン戦略の中核に位置するのが、最も競争力のある輸出財ともいわれる日のアニメだからだ。 アニメーターといえば、一昨年にNHKの

    今年1年間『労働新聞』で12冊を書評 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
    nagaichi
    nagaichi 2022/01/01
    「古代日本の律令制は職能資格制であるのに対して、中国の律令制は(そういいたければ)ジョブ型なのだ」<「九品官人法(九品中正法)」というのがあってな。日本の律令の「ヒトについたランク」の起源も中国だよ。
  • 自治体は雇用契約を結べないけれど、偽装請負だと雇用になってしまう件について - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    こういう増田が話題になっていて、 https://anond.hatelabo.jp/20211014160920(埼玉県ワクチン接種センターで働いていたのに労働者ではないと言われた話) 謝金扱いだから労働契約がないとのことだったが、時間や勤務場所が拘束されていること・この仕事をしろと指示されていることなどから、「使用従属関係」が発生するのではないか。 こういう応答がされているのですが、 https://anond.hatelabo.jp/20211015101356 自治体が人を雇う場合、一般的な雇用契約をすることができない。少し前までは曖昧にされてたが、総務省が古い解釈を今更示したせいで、一時的であれ短時間であれ、明確に公務員として任用せねばならなくなった。令和2年度4月から施行された会計年度任用職員てやつだ。 いや、それは教科書レベルの回答であって、も少しディープな話があるんだな。

    自治体は雇用契約を結べないけれど、偽装請負だと雇用になってしまう件について - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
  • 「女性」さんの短評 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    以前、桝純さんのオーラルヒストリーに関心を持って「今世紀最高の」とまで絶賛していた「女性」さんという方(一人称「俺」のこの方の生物学的な雌雄の別は存じ上げませんが)が、『ジョブ型雇用社会とは何か』について、あまりほかの方がつっこまないところで、しかし私としては秘かにつっこんで欲しいなと思っていたところに、うまい具合につっこんでいただいています。 https://twitter.com/ssig33/status/1447750147375435778 濱口桂一郎さんの新刊読みました。一番よかったの国がハイエンド外人を水増しする話で、もしメンバーシップ雇用のOJTでハイエンドになれるなら、そこに後からハイエンド外人でもはまるはずだけどそうなってない、つまり日の労働者はほぼ全てノースキルローエンドであることが示唆されている。 では日のハイエンド人材がどこに消えてるかというと、これは学位

    「女性」さんの短評 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
    nagaichi
    nagaichi 2021/10/14
    「大多数の産業はやる気だけある能力のない人の気合いで維持されてる」あー
  • いや、倫理課はあったほうがいい - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    最近日でも妙に人気があるらしいマルクス・ガブリエルという人が、企業には倫理課、政府には倫理省を置けと主張してプチ炎上しているようですが、 https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000222581.html(天才哲学者マルクス・ガブリエルが語る未来と倫理) 「コロナ禍において、これまでの価値観では判断できない事象が増えた」と語るガブリエル教授。だからこそ、企業では『倫理課』、政府には『倫理省』など、専門組織を持つことで経済成長し続けられるといいます。 たぶん、ここでガブリエル氏が言っている趣旨自体は全くナンセンスで、企業に倫理課なんか置いたところでその倫理水準は1ミリも上昇しはしないし、政府に倫理省なんか置いたらいくつかのコメントにあるようにそれこそジョージ・オーウェルの世界かも知れません。 でもね、昨今の世情をつら

    いや、倫理課はあったほうがいい - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
    nagaichi
    nagaichi 2021/07/26
    前世紀末の任天堂法務部対教皇庁倫理課の死闘を「見てしまった」者としては、ここは肯くしかない。
  • バラモン左翼と商売右翼への70年 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    トマ・ピケティの「バラモン左翼」は、私が紹介したころはあまり人口に膾炙していませんでしたが、 http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2018/04/post-83eb.html(バラモン左翼@トマ・ピケティ) 21世紀の資で日でも売れっ子になったトマ・ピケティのひと月ほど前の論文のタイトルが「Brahmin Left vs Merchant Right」。「バラモン左翼対商人右翼」ということですが、この「バラモン左翼」というセリフがとても気に入りました。・・・ その後日でもやたらにバズるようになり、その手のも結構並んでいます。この言葉、対句になる「商売右翼」とセットなんですが、こちらはあんまりバズってないようです。 そのピケティが、今月3人の共著という形で、「Brahmin Left versus Merchant Right:Chan

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  • 中国の左翼は日本の右翼または張博樹『新全体主義の思想史』 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    アメリカバイデン政権になって、米中対立が格的に専制対民主の対立になりつつある今、前から気になっていながらそのままになっていた張博樹『新全体主義の思想史』を通読しました。 https://www.hakusuisha.co.jp/book/b452526.html 習近平体制を「新全体主義」ととらえ、六四以後の現代中国を壮大なスケールで描く知識社会学の記念碑的著作。天安門事件30年を悼む 著者の張博樹さんは、中国社会科学研究院を解雇され、コロンビア大学で現代中国を講じている言葉の正確な意味でのリベラル中国知識人ですが、そのリベラル派から新左派、毛左派、紅二代、ネオナショナリズムに至るまで、現代中国の9大思潮を、時にはそのインチキなロジックを赤裸々に分析しながら描き出した大著です。 著者を含むリベラル派については、訳者の石井知章、及川淳子さんらによる紹介がされていますし、妙にポストモダン

    中国の左翼は日本の右翼または張博樹『新全体主義の思想史』 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
    nagaichi
    nagaichi 2021/05/03
    中国の左派は体制保守派や毛沢東主義寄りが多く、右派はリベラルもしくはネオリベ改革派寄りが多いので、日本含む西側の左翼/右翼の軸とはかなりズレてるのだよね。
  • 麒麟も老いては・・・ - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    文春オンラインに伊藤隆氏のインタビュー(インタビュワー:辻田 真佐憲)が載っていて、あの(!)伊藤隆がこんなそこらのネトウヨじじいみたいなことばかり口走るようになったのか、といささか感慨深いものがありました。 https://bunshun.jp/articles/-/44645 というのも、彼の出世作ともいうべき伊藤隆『大正期「革新」派の成立』(塙書房、1978年)は、私にとっては近代日史を理解する基枠組みを与えてくれたであり、実を言えば私の『日の労働法政策』第1章で示している歴史観は、少なくともその戦前から戦中、戦争直後にかけての時代認識は、このによるインスピレーションを元に、ミクロな一つ一つの事実を積み上げて作り上げたものだからです。 おそらく今の若い人にとって伊藤隆という名前は「つくる会」の右翼じいさんというくらいの印象しかないかもしれませんが、それこそ当の意味で平板な

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  • 古関裕而と労働政策 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    いやいや、別に古関裕而が労働政策にかかわりのある曲を作ったという話じゃありません。ていうか、そういう曲も作っているんですけど、その話じゃない。 古関裕而の生涯については、先日終わった朝の連続テレビ小説「エール」で描かれたように、戦前はあまり売れず、早稲田やタイガースの応援歌という非売品が評判になった程度ですが、戦時中はその曲調が軍歌にフィットして「露営の歌」や「若鷲の歌」などが大ヒットし、戦後も「栄冠は君に輝く」や「オリンピックマーチ」など売れっ子作曲家として活躍しました。そんなことは知ってるけど、それが労働政策と何の関係があるの?と言われそうです。中身じゃなくて、戦前は人気が出ず、戦時中と戦後にとても受けているというところが、両者はよく似ているなと思うのです。 ドラマでは、おそらく世間で一般的な歴史観に沿って、戦時中のヒットした軍歌がかなり否定的なイメージで描かれ、その反省の上に戦後の歌

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  • 竹中平蔵と習近平の「共鳴」@梶谷懐 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    中国経済の梶谷懐さんが、現代ビジネスに「竹中平蔵氏と中国・習近平政権、提唱する「経済政策」がこんなに似てきている」というエッセイを寄稿しています。これが大変面白い。 https://gendai.ismedia.jp/articles/-/76094 あの竹中平蔵氏が、中国で大いに人気を集めているらしい。中国の人々はいったい竹中氏の何に惹かれ、彼から何を得ようとしているのか。神戸大学・梶谷懐教授による全3回のレポート。最終回となる今回は、竹中氏が提唱する経済政策と、習近平政権が目指す経済体制(「シーノミクス」と呼ばれる)に見られる類似、そして、日中で共振する「新自由主義」の動きについて解説する。 まあ、今の中国社会を、共産党一党独裁による徹底した新自由主義と考えるのは、割とポピュラーな見方だとは思いますが、そこにここ二十数年にわたって陰に陽に日の政策決定に関わり続けてきた竹中平蔵という補

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    nagaichi
    nagaichi 2020/10/05
    近代史的にも幇や善堂・善会の類はあったわけで、自律的な中間団体が形成されなかったわけではないような。現代的には総工会的に中間団体の体制内化・党内化が進んで独立対峙できないことに問題があるような。
  • マルクス主義と中華文明の共通性@潘岳 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    8月10日のエントリ「香港に栄光あれ(願榮光歸香港)」に、SATOさんという方がコメントをつけられていて、そこで、 http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2020/08/post-ab6a8a.html#comment-118266470 さて、今現在の中国共産党の公式見解であるところの、マルクス主義なるものがいったいどういうものかということが、たいへんよくわかるコラムを発見したので紹介させてください。 今現在(2020/08/18)、中国政府の日語広報誌である雑誌「人民中国」のweb版のトップページから入ると「潘岳・中国を語る」というコラムが掲載されています。著者の潘岳氏は、歴史学博士で中央社会主義学院第一副院長、共産党中央委員会候補とのこと。 という情報を提供されていますので、さっそく見に行ってみました。 http://www.peopl

    マルクス主義と中華文明の共通性@潘岳 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
    nagaichi
    nagaichi 2020/08/19
    俺はそこまで冷笑的にはなれないけど、指摘についてはそのとおりかと。中国革命自体が列強の侵略に対する救亡意識から起こったものだからして。マルクス主義も中国に移入されて変質し、体制化してさらに変質したかと
  • 渋沢栄一の工場法反対論 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    なにやら、お札の顔が変わるという話があるようで、1万円札の福沢諭吉の次は大隈重信・・・とはならないで、渋沢栄一という名前が挙がっているようです。 渋沢栄一who? 概略はWikiを見ればわかりますが、そこに書かれていない労働法関連のエピソードを一つ。 拙著『日の労働法政策』414ページにも一部引用してありますが、彼は明治29年(1896年)の第1回農商工高等会議の席で、「職工ノ取締及保護ニ関スル件」の諮問に対し、次のような反対意見を述べています。 ・・・夜業ハイカヌト云フコトハ、如何様人間トシテ鼠トハ性質ガ違ヒマスカラ、昼ハ働ライテ夜ハ寝ルノガ当リ前デアル、学問上カラ云フトサウデゴザイマセウガ、併シナガラ一方カラ云フト、成ルベク間断ナク機械ヲ使ツテ行ク方ガ得デアル、之ヲ間断ナク使フニハ夜業ト云フ事ガ経済的ニ適ツテヰル・・・唯一偏ノ道理ニ拠ツテ欧州ノ丸写シノヤウナモノヲ設ケラルルト云フコト

    渋沢栄一の工場法反対論 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
  • 中国左翼青年の台頭と官憲の弾圧 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    梶谷懐さんのツイートでリンクされていたBBC中国語版の記事が面白いです。 https://twitter.com/kaikaji/status/1081583027640139783 https://www.bbc.com/zhongwen/simp/chinese-news-46616052 (中国左翼青年的崛起和官方的打压) 今まで何回かブログでも取り上げてきた(下記参照)話題ですが、ここまでまとまったものはあまり見当たらないので、中国語の理解力が乏しいのを顧みず少し紹介したいと思います。 北京大学毕业生岳昕是今年中国网络上最著名的左翼青年之一,但她已从公共视野中消失了四个月。作为一名坚定的马克思主义者,今年夏天她放弃了去美国读研的机会,投入到深圳佳士工人维权活动。2018年8月24日,中国警方在广东惠州带走包括她在内的数十名左翼维权者后,公众再也没有她的消息。 过去几十年,国家主导

    中国左翼青年の台頭と官憲の弾圧 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)