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ブックマーク / morningrain.hatenablog.com (7)

  • 東島雅昌『民主主義を装う権威主義』 - 西東京日記 IN はてな

    「民主主義」の反対となる政治体制というと「独裁」が思い浮かびますが、近年の世界では金正恩の北朝鮮のようなわかりやすい「独裁」は少なくなっています。 多くの国で選挙が行われており、一応、政権交代の可能性があるかのように思えますが、実際は政権交代の可能性はほぼ潰されているような体制の国がけっこうあります。 独裁からこういった選挙があるけど政権交代の可能性がほぼない国までひっくるめて政治学では「権威主義」、「権威主義体制」と言い、近年では今井真士『権威主義体制と政治制度』、エリカ・フランツ『権威主義』のように権威主義を分析したや、川中豪『競争と秩序』のように民主主義と権威主義の狭間で動くような国(東南アジアの国々)を分析したも出ています。 こうした中で書は権威主義体制の戦略、特に権威主義体制における選挙の利用について分析したになります。 権威主義体制に選挙は必要ないような気もしますが、先

    東島雅昌『民主主義を装う権威主義』 - 西東京日記 IN はてな
  • 倉田徹『香港政治危機』 - 西東京日記 IN はてな

    2014年の雨傘運動、2019年の「逃亡犯条例」改正反対の巨大デモ、そして2020年の香港国家安全維持法(国安法)の制定による民主と自由の蒸発という大きな変化を経験した香港。その香港の大きな変動を政治学者でもある著者が分析した。 香港返還からの中国と香港のそれぞれの動きを見ながら、さまざまな世論調査なども引用しつつ、いかに香港が「政治化」したか、そして香港を取り巻く情勢がいかに変わっていたのかを論じています。 目次は以下の通り。 序 章 香港政治危機はなぜ起きたか 第一章 中央政府の対香港政策――鄧小平の香港から,習近平の香港へ 第二章 香港市民の政治的覚醒――経済都市の変貌 第三章 「中港矛盾」の出現と激化――経済融合の効果と限界 第四章 民主化問題の展開――制度設計の意図と誤算 第五章 自由への脅威――多元的市民社会と一党支配の相克 第六章 加速する香港問題の「新冷戦化」――巻き込み

    倉田徹『香港政治危機』 - 西東京日記 IN はてな
  • アダム・プシェヴォスキ『それでも選挙に行く理由』 - 西東京日記 IN はてな

    でも先日、衆議院議員の総選挙が行われ、その結果に満足した人も不満を覚えた人もいるでしょうが、冒頭の「日語版によせて」の中で、著者は「選挙の最大の価値は、社会のあらゆる対立を暴力に頼ることなく、自由と平和のうちに処理する点にあるというものだ」(7p)と述べています。 日に住んでいると、この言葉にピンとこないかもしれませんが、著者は選挙の歴史や国際比較を通じて、この言葉に説得力を与えていきます。書の帯にある「選挙とは「紙でできた石つぶて」である」との言葉も書を最後まで読むと納得できるでしょう。 著者は1940年にポーランドで生まれた比較政治学者で、1960年代にアメリカに留学して以来、主にアメリカの大学で教鞭をとっています。 このポーランド生まれというところが、ありきたりな民主主義論とは違う、一風変わった民主主義と選挙についての考えのバックボーンにあるのかもしれません。 目次は以下

    アダム・プシェヴォスキ『それでも選挙に行く理由』 - 西東京日記 IN はてな
    nagaichi
    nagaichi 2021/11/19
    今回の衆院選の俺の票は選挙区・比例区ともに死票になったし、思い返せば有権者となって以来国政での死票経験は数多いが、俺は生きている限り懲りずにまた選挙に行くだろう。流血なき政権交代を信じて。
  • 黒川みどり『被差別部落認識の歴史』 - 西東京日記 IN はてな

    中学で公民を教えるときに、教えにくい部分の1つが被差別部落の問題です。 問題を一通り教えた後、だいたい生徒から「なんで差別されているの?」という疑問が出てくるのですが、歴史的な経緯を説明できても、現代でも差別が続いている理由をうまく説明することはできないわけです。 もちろん、地域によっては子どもであって差別を身近に感じることもあるかもしれませんが、東京の新興住宅街などに住んでいると、差別が行われている理由というものがわからないのです。 書はそのような疑問に答えてくれるです。 書の「はじめに」の部分に、結婚において差別を受けた部落出身の女性が、差別する理由を重ねて尋ねると、相手の母親が「すみません、なんで今でも差別があるんでしょうか?」と、差別をしているにもかかわらず、その理由を差別している相手(女性の母親)に訊くというエピソードが紹介されているのですが、差別している人が差別している

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  •  ジャレド・ダイアモンド、ジェイムズ・A・ロビンソン編『歴史は実験できるか』 - 西東京日記 IN はてな

    物理学や化学などの理系の学問では仮説は実験によって確かめられ、科学的な真理として定着していきます。一方、歴史学となるとどうでしょう? ある出来事の原因を探るために実験をすることはタイムマシンでもない限り不可能です。「明治維新の最大の立役者は西郷隆盛である」という命題を検証するために、過去に行って西郷隆盛を殺して明治維新が起きるかどうかを確かめるということはできません。 そこで「歴史は科学ではない」、あるいは「文系の学問は科学ではない」という声が生まれてくるわけです(近年、経済学政治学などの社会科学の分野では実験という手法が取り入れられるようになってきていいますが)。 しかし、例えば進化生物学や天文学といった分野でも実験はできませんし、多くの人を伝染病にかからせたり、氷河を溶かす実験なども現実的とは言えません。 そこで、これらの分野ではしばしば自然実験という手法が用いられています。たまたま

     ジャレド・ダイアモンド、ジェイムズ・A・ロビンソン編『歴史は実験できるか』 - 西東京日記 IN はてな
  •  足立啓二『専制国家史論』 - 西東京日記 IN はてな

    中国社会を日と対比させながら、中国の社会、政治、経済の特徴を鋭く抉り出したとして評判でありながら絶版で、古書の価格がびっくりするくらい高くなっていたが、このたびちくま学芸文庫に入りました。 20年前ので、前半はけっこう硬さも感じられて決して読みやすいではないのですが、日社会をはじめとしてさまざまなものと比較しながら中国社会の特徴を指摘してく筆は鋭く、中盤以降は非常に面白く読めました。 目次は以下の通り。 第1章 専制国家認識の系譜 第2章 専制国家と封建社会 第3章 専制国家の形成 第4章 封建社会と専制国家の発展 第5章 近代への移行―その一 経済 第6章 近代への移行―その二 政治 終章 世界統合と社会 第1章は中国の顧炎武や梁啓超、日の内藤湖南、さらには戦後の日での中国史研究の整理で、著者の格的な議論は第2章から展開されます。 日のムラはメンバー同士が強く結び付い

     足立啓二『専制国家史論』 - 西東京日記 IN はてな
    nagaichi
    nagaichi 2018/03/16
    文庫化したし、買おう。
  •  アレンド・レイプハルト『民主主義対民主主義 原著第2版』 - 西東京日記 IN はてな

    もはや政治学の新しい古典とも言っていいの第2版。まだ読んでいなかったのですが、この度第2版が出たのを機に読んでみました。 個人的にこのを読んで得られた知見は以下の3つ。 多数決型民主主義とコンセンサス型民主主義を比べてみた場合、従来言われるコンセンサス型民主主義の欠点というのは実はあまりない。 「特殊」と言われがりな日の民主主義だけど、国際比較で見ると大部分の面で平均的。 「比較」というのはやはり大変。 まず1について。このの一番の主張はこれです。 民主主義には多数派による統治をめざす多数決型民主主義と、統治へのできるだけ広い参加を目指すコンセンサス型民主主義があります。多数決型民主主義の代表は小選挙区制で2大政党が争い勝った政党が単独内閣をつくることが多いイギリス、コンセンサス型民主主義の代表は比例代表制によって多くの政党が議席を持ちそれらの政党が連立して内閣をつくるスイスやベル

     アレンド・レイプハルト『民主主義対民主主義 原著第2版』 - 西東京日記 IN はてな
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