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ブックマーク / honz.jp (34)

  • センスがいいってどういうこと?『センス入門』 - HONZ

    「センスがいいね」と言われたら、私はとても嬉しい気分になる。「センスがいい」というのは、生き方そのものを肯定されているような気がするし、最高の褒め言葉だと思うのだ。でも「センスがいい」ってどういうこと?と聞かれても、その定義を明確に答えることができない。 なんとなくイメージはできても、センスというものはうまく言語化ができないものだ。私は大のファッション好きなので、ファッションの観点からいうと、センスのいい人というのは、ジーンズに白いシャツというようなシンプルなスタイルを、さらっと着こなしている人を思い浮かべる。華美なデザインの服で着飾ったり、奇抜な格好をしたりするのは、オシャレではあっても、センスがいいとはいえない。 著者は「昨日、センスのいい人に会った。」といったときに、その人が実際に何を着ていたのか、思い出せない人こそセンスがいい人だ。といっている。確かにそうかもしれない。何を着ていた

    センスがいいってどういうこと?『センス入門』 - HONZ
  • 読めばわかる! 『謎の独立国家ソマリランド』 - HONZ

    高野秀行はいくつもの意味で天才だと思う。 アマゾンで高野の作品をみると、31商品ヒットし、そのほとんどが☆四つ以上、中には☆五つもある。そう、どの作品もおもしろいのである。親戚や親しい友人が20名くらいいて、星稼ぎしているという可能性は否定しきれないところではあるが、それはないということにしておこう。しかし、ご人がおっしゃるところ、あまり売れてないらしい。作品はつぶぞろいなのに売れてない。とりあえず、天才にありがちなことではないか。そう、ゴッホ並みなのである。 ☆を見たら面白そうだとわかるはずなのに読まれていなというのは、読まず嫌いの人が多いにちがいない。そういう人たちは、今回の『謎の独立国家ソマリランド』略して『謎ソマ』を機会に悔い改めて、ぜひ読んでみるように。とはいうものの、私もそれほど前からの愛読者ではない。一昨年に刊行された『イスラム飲酒紀行』以来、高野ワールドにどっぷりはまり込

    読めばわかる! 『謎の独立国家ソマリランド』 - HONZ
  • 言語の力は7%か?『言語の社会心理学』 - HONZ

    タイトル『言語の社会心理学』だけでは、抽象的で伝わらないし、内容の推測も難しい。しかし、装丁と帯をよく見てみると、書のことを伝えようとする気迫が伝わってくる。 副題は「伝えたいことは伝わるのか」 帯には、「ことばは「文字どおり」には伝わらない」 背表紙からは、「伝えたいのに伝わらない」 裏返すと、「伝えたいことを伝えるために」 ここまで何度も伝えられれば、さすがにメッセージが伝わってくる、「あなたも(伝えたいことが伝えられないなら)、買ってください」と。どうでもいいが、既に「伝」の漢字を15回も使っている、この後が不安だ。 著者は、ことばとコミュニケーションに関して社会心理学的な立場から研究をしている。就活の面接対策でよく話題になるメラビアンの法則では言語の力は7%に過ぎない(口調や話の早さなどの聴覚情報が38%、見た目などの視覚情報が55%)と言われているが、そのことについても、正しく

    言語の力は7%か?『言語の社会心理学』 - HONZ
  • 『生き物たちは3/4が好き』 - HONZ

    原題は『Life、Energy and the Unity of Nature』である。直訳すると「生命とエネルギーと自然の統一性」だ。邦訳タイトルは明らかにまちがいだ。この間違ったタイトルのおかげで、例のアロメトリーの話かと取り合わなかった人がいるのではないか。1992年出版の名著で『ゾウの時間 ネズミの時間』というがある。このはそのアロメトリーをまともに取り扱った最初の読み物だった。 アロメトリーとは生物の体の大きさと、代謝率や寿命や心拍数などの生物学的な量の関数のことだ。ネズミと牛などを比較した場合、体重が1000倍になっても代謝率は180倍にしかならない。つまりより大きな動物はエネルギーを相対的に必要としないのだ。動物の体重と代謝率の相関関係は3/4乗則になっているため、書のタイトルに3/4が使われたのだろう。 しかし、書では森も草原も面積あたりのエネルギー消費量は同一であ

    『生き物たちは3/4が好き』 - HONZ
  • 『思い通りの死に方』 新刊超速レビュー - HONZ

    医療ミステリー作家・久坂部羊のはすべて読んでいる。熱烈なファンなのである。かというと、そいういう訳でもない。久坂部羊こと久家義之クンは、阪大医学部時代の同級生であり、いまでもしょっちゅう飲みに行く友人である。出版のたびに恵送してくれるので、礼儀正しい私としては、ついすべて読んでしまっているだけのことである。 しかし、久坂部羊のがたくさん売れたところで、私にはなんの得にもなりません。友人だからという理由で、このをお薦めするわけではありません、ということを、COI(=conflict of interest、利益相反)事項とし、まず宣言しておきます。 あとがきにあるように、このは、久坂部羊が、発行部数50万部突破とかいう大ベストセラー『大往生したけりゃ医療とかかわるな』のおこぼれをちょうだいしようと、著者の中村仁一医師にもちかけた対談の記録である。さすが、ほとんど勉強をせずに、優秀な同

    『思い通りの死に方』 新刊超速レビュー - HONZ
  • 『裁判百年史ものがたり』 日本をつくった12の事件 - HONZ

    1891年5月11日、2週間前に長崎港から来日したロシア皇太子のニコライは、鹿児島、神戸、京都を経て大津にやって来た。昼をすませた彼は心地よく人力車に揺られながら、今夜の芸妓との楽しい時間に想いをめぐらしていた。少しずつ、だが確実に、死の危険に近づいていることも知らずに。 異国の皇太子目当てに詰めかけた人の群れの中に、鬼の形相でニコライを睨みつける男がいた。その男とは、滋賀県巡査の津田三蔵。ニコライを警備するために大津まで来ていた津田は、職務のことなど完全に忘れていた。このときの津田は、怒りと妄想に支配されていたからだ。もはや正気とは呼べない津田の脳内を、危険な言葉が駆け巡る。 「なぜニコライは真っ先に天皇陛下にご挨拶へ行かないのか?あまりに無礼だ!」 「これは親善目的の来日ではなく、日侵略のための偵察なのではないか?」 手の届く距離にまでニコライが近づいたとき、彼は腰のサーベルを抜き

    『裁判百年史ものがたり』 日本をつくった12の事件 - HONZ
  • 『貧乏するにも程がある』 - HONZ

    書の著者は「文芸評論のかたわら歯科医」もしている。書の著者紹介やウィキペディアなどでは「歯科医のかたわら文芸評論」をしているとなっているが、まだ四〇才台半ばで二〇冊以上の立派な著作があるのだから、順番が逆だ。歯科医は副業といってもよい。 しかし、この職業紹介の順番はいかにも歯科医のほうが評論家よりも立派な職業だといわんばかりである。実際には全国に十万人近くもいる歯科医にくらべ、えている文芸評論家などは二桁台であろう。それでもなお、歯科医が先にくるのは国家による認証がいまだ尊ばれるためだろう。日では芸術であっても、お上のご威光の前では文字通り二の次なのかもしれない。 ところで書は近代日の文学者を金銭面から見た評論である。「芸術とお金の”不幸”な関係」という副題がついているが、実際には明治から現代までの日小説家や歌人を扱っている。 森鴎外などの兼業作家と夏目漱石などの専業作家。

    『貧乏するにも程がある』 - HONZ
  • 『大暴落 1929』 - HONZ

    1955 年初版のである。ガルブレイズ自身が1997年版のまえがきで「このが長寿を保っているのは、増刷され屋の店頭に並ぶたびに、バブルや株安など何事か起きるのだ。すると、このへの関心が高まる」と書いている。書は日経BPクラシックスの最新刊で9月29日初版なのなのだが、当にタイミングが良い。 日経クラシックスはフリードマンの『資主義と自由』、ドラッカーの『マネジメント』の4分冊とつづき書で6冊目だ。この出版企画には拍手を送りたい。次の1 冊も楽しみだ。ところで、このの訳者は村井章子という人で、この人の翻訳には面白いが多い。『コンテナ物語』、『金融工学者フィッシャー・ブラック』、『マッキンゼーをつくった男 マービン・バウアー』などだ。 さて、書は経済学者ガルブレイズの著書だが、仕立ては大暴落を時系列で追ったルポである。大暴落後の大恐慌についてのではない。終章の「原因と

    『大暴落 1929』 - HONZ
  • 統一場へダイブ『大きな魚をつかまえよう―リンチ流アート・ライフ∞瞑想レッスン』 - HONZ

    マイブームではないが、いつもを探す時に気になるワードがある。それを一度意識しだすと、不思議なことにその言葉を何度も目にするようになるのは私だけだろうか。 最近は「至福」という言葉だった。意味を調べると、単純に「幸せ」という言葉にも段階があり、中でも至福は最上位における愛で満たされている状態らしい。偶然にも書を購入した後にそのキーワードは各所に入っていた。著者によると至福は瞑想によって体感できるそうだ。 著者は映画監督デヴィッド・リンチ。日ではアメリカンドラマ「ツイン・ピークス」など奇抜な作品が広く知られているが、他にも「ストレイト・ストーリー」など牧歌的で心温まる作品も制作している。彼は今、映画以外にも絵画や音楽などへ表現のフィールドを広げており、それらの作品はシュールレアリズムの影響が見られるのが特徴的だ。またロバート・ヘンライ著『アート・スピリット』の愛読者でもあり、その中で提唱

    統一場へダイブ『大きな魚をつかまえよう―リンチ流アート・ライフ∞瞑想レッスン』 - HONZ
  • 『商店街はなぜ滅びるのか』+求ム翻訳x2 - HONZ

    前回の投稿に引き続き、商店街を紹介したい。著者は1973年北九州生まれ、炭坑の街北九州の酒屋の息子である。角打ち(酒屋で立ち飲みすること)で店兼自宅の周りは毎日酔っぱらいが囲む騒がしい環境で育ち、その環境を忌み嫌い、また両親も酒屋を継ぐ必要はないと子どもたちに伝え、子どもたちは家業を継ぐことなくみな大学へ進学。酒屋は時代の波に乗るように流されるようにコンビニに業態変換を行い、20人のアルバイトを雇っている。著者の両親は昼夜問わずコンビニの現場で働き続けている。ここまでが書のあらすじ、ではない。これは書のあとがきの一部である。 話は飛んで東日大震災。多賀城市と石巻市、著者が現地に足を運んだ復興の現場風景。石巻市の取り組みはメディアにも頻繁に取り上げられてきた。しかし、被害状況の差はあれど同じく被災した多賀城市の現状は語れることは多くはない。二つの都市の違いは端的に言ってしまうと、商店

    『商店街はなぜ滅びるのか』+求ム翻訳x2 - HONZ
  • 『100のモノが語る世界の歴史』 新刊超速レビュー - HONZ

    世界で最初の壺は日でつくられた。1万4千年以上前、縄文人たちがつくりはじめたのである。地中海世界などでみつかる最古の壺は早期縄文時代から数千年後につくられたものだ。これらの地域では農耕が定着してから、穀物の保存などの目的でつくられはじめた。農耕以前の移動する狩猟生活では壺は持ち運びにくいため、つくられることはなかった。 いっぽう縄文人たちは定住型だが狩猟採集民族だった。来、保存用の壺は必要ではなかったはずだ。その縄文人たちが壺をつくった目的はなんと調理用の鍋だったのである。日スープ発祥の地であり、シチューの祖国であると著者はいう。 書は著者がナレーターをつとめたBBCのラジオ番組を書籍にまとめたものである。大英博物館に収蔵される700万点以上の文物から、100点を選び出し、そのモノにまつわるエピソードをそれぞれ15分ほどで語っている。しかし、よくある博物館の展示物に添えられた解説

    『100のモノが語る世界の歴史』 新刊超速レビュー - HONZ
    nagayama
    nagayama 2012/05/13
  • 『意識は傍観者である』 CEOでもある - HONZ

    あなたはどんな街に住んでいるだろう。その街に住むことを決めたのはあなただろうか、それとも、あなたの家族だろうか。立地、間取り、価格、様々な要素を比べて、その街に住むことを決めたことだろう。少なくとも、あなたはその街に住むことを決めた理由を述べることができるはずだ。しかし、その街へ住むことを決めたのはあなたの意識の及ばない何かかもしれない。心理学者ブレット・ペラムの膨大な研究によれば、2月2日生まれの人は、ツイン・レークのように数字の2と関係のある名前の都市に引っ越す確率が有意に高く、6月6日生まれの人はシックス・マイルのような場所に引っ越す確率が高い。誕生日という、一見居住地選択に全く関係のない要素でさえ、あなたの意識に上ることなく、あなたの行動に影響を与えている。 あなたはどんな人を配偶者に選んだだろう(もしくは、これから選ぶだろう)。性格、容姿、年収、相手に求める要素とその優先順位は人

    『意識は傍観者である』 CEOでもある - HONZ
    nagayama
    nagayama 2012/05/13
  • 『加齢臭読本』新刊超速レビュー - HONZ

    品川駅構内の書店で購入したのだが、店員に冷ややかな視線を浴びせられるのでは…とドキドキしたが、同時に購入した『帝国ホテルの流儀』で印象も薄まったのだろう。まだ、20代、何を気にしているのだ、突っ込まれそうだが、やっぱり湿度の高い電車で横の席に座った男性が臭くて耐えられないことは多くの人の悩みであり、その発信源にいつの日か自分もなるのだろうと心配してしまう。加齢臭は30代からはじまるのだ! せっかくなので、具体的な製品を通じて加齢臭の知識をひけらかしてみたい。

    『加齢臭読本』新刊超速レビュー - HONZ
  • 『つながらない生活』ネット週休2日制のススメ - HONZ

    検索エンジンを普及させ、Webの世界を便利に快適にし、よりつながる生活を提供してきたグーグル、その会長のエリック・シュミットはかく語りき。 コンピュータの電源を切りましょう。携帯電話の電源も切って、周囲に溢れる人間らしさを発見したいものです。孫が初めて歩けるようになったときに手を引いてやることは、これ以上ないほどの至福です 続いてこちらにも目を通してほしい、サイバーエージェント社長の藤田氏のブログより携帯中毒だった堀江氏(ホリエモン)入所前の一言。 携帯を手放せるのは、正直うれしい 情報化社会の曲がり角、通信スピードの向上とエリアの拡大を要求し続けてきたユーザーは便利さを謳歌しながらも、不都合なつながりを防げずにいる。夜23時にかかってくるクライアントからの電話。外回り中の喫茶店でのつかの間の休息は一上司からの電話で玉砕される。気になるfacebookのコメントと友人の誕生日。重要そう

    『つながらない生活』ネット週休2日制のススメ - HONZ