学生時代に元素周期表を見せられて「この対応を覚えるのだ」と言われた時程の絶望はなかなか味わえるものではない。水平りーべ僕の船などと語呂の合わせ方も多くのパターンが編み出されたが逆にいえばそれぐらい覚えることが困難であり「hが水素で……hが2つにoが1つでh2o、つまり水か……って水は水やないかい! 何がh2oじゃボケ! いったい……いったいなぜこんなものを覚えなければならないのか……」と呪ってもそれから逃れられるわけではなかった。 そのまま理不尽さに納得できず、化学憎むべししのまま日々を過ごしてきてしまった人もいるのではないかと思う──というより僕がそんな人間だったのだが、本書を読んでその印象が一変することになった。これはなんて洗練されたシンプルでエレガントな表であろう。そして、表が埋まっていく過程には、化学者、物理学者、探検家など多くの人びとのドラマが詰まっているのだろうかと。本書は化学
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