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ブックマーク / honz.jp (55)

  • 体は星くずで出来ている──『スプーンと元素周期表』 - HONZ

    学生時代に元素周期表を見せられて「この対応を覚えるのだ」と言われた時程の絶望はなかなか味わえるものではない。水平りーべ僕の船などと語呂の合わせ方も多くのパターンが編み出されたが逆にいえばそれぐらい覚えることが困難であり「hが水素で……hが2つにoが1つでh2o、つまり水か……って水は水やないかい! 何がh2oじゃボケ! いったい……いったいなぜこんなものを覚えなければならないのか……」と呪ってもそれから逃れられるわけではなかった。 そのまま理不尽さに納得できず、化学憎むべししのまま日々を過ごしてきてしまった人もいるのではないかと思う──というより僕がそんな人間だったのだが、書を読んでその印象が一変することになった。これはなんて洗練されたシンプルでエレガントな表であろう。そして、表が埋まっていく過程には、化学者、物理学者、探検家など多くの人びとのドラマが詰まっているのだろうかと。書は化学

    体は星くずで出来ている──『スプーンと元素周期表』 - HONZ
    nakagawanatuko
    nakagawanatuko 2015/10/26
    「私たちはみんな星くず」
  • 『チベットの焼身抗議』燃えさかる叫び、祈り - HONZ

    チベットが自由を取り戻すため、世界平和のために、私たちは焼身する。自由を奪われたチベット人たちの苦しみは、私たちの焼身の苦しみよりも余程大きい。 中国政府の圧政に対するチベット人の焼身抗議は2009年3月に始まり、2011年3月以降連続しながら今なお続いている。2015年8月1日の時点で亡命チベット人を含め147人が焼身を行い、内123人が死亡している。冒頭の言葉は、2012年4月に2人同時に焼身して亡くなった25歳と24歳の青年が残した遺書の一節だ。 焼身は自殺の中でも最も激しい苦痛を伴うものと言われている。体液は沸騰し、眼球は膨張し破裂する。息をすれば気管と肺は焼け、激しい痛みと共に呼吸困難に陥る。そうした状態のまま、焼身者のほぼ全員が「ダライ・ラマ法王に長寿を! チベットに自由を!」、「ダライ・ラマ法王のチベット帰還を!」と最期の言葉を叫ぶという。 海外メディアへの取材規制や現地メデ

    『チベットの焼身抗議』燃えさかる叫び、祈り - HONZ
  • 『世界のしゃがみ方』-便所ナショナリズムをこえて - HONZ

    「小用も座ってしてください」。先日、親族宅でこのような張り紙を見て、怒りを爆発させた。なんで一般家庭にこんな張り紙があるんだ!馬鹿野郎、日男児は立ってするんだよ!女性や外国人が座ってしても、俺は立つぞ、立つんだ。 書を読むと、自分の認識が浅はかであったことを思い知る。立ってすることにこだわったことに対してではない。日男児でなくても、ついこの間まで、女性ですら街中で立ちションをしていたのだ。「立ちションする日人は公衆道徳が低い」と戦後真顔で論じられたこともあるらしいが、日人どころか英国人もロシア人も立ちションするのである。 書はロシア語圏の文学を専門にする著者が、ロシアで便器の使い方に悩んだことを端緒に世界を練り歩きトイレを比較考察した一冊だ。 我々はトイレの様式や使い方を時にナショナリズムとひもづけて論じてしまうが、立つか座るか和式(ユーラシア式)か洋式かと地域の関係性は非常に

    『世界のしゃがみ方』-便所ナショナリズムをこえて - HONZ
    nakagawanatuko
    nakagawanatuko 2015/09/30
    友達の家に遊びに行ったら、相当前に洋式便座が導入されたらしく座り方の説明が書いてあってびっくりしたのを思い出した。ふつうは背にする側を正面にして座っている図におもいっきりバツが書いてあった。
  • 『ペルシア王は「天ぷら」がお好き?』言語と食の大海を旅する醍醐味 - HONZ

    書は、スタンフォードのコンピューター言語学者が、の言語を手掛かりに人類史を探究するという異色の一冊である。そして「と言語」と聞いて黙っていられなかったのが、辺境をこよなく愛するノンフィクション作家・高野秀行さん。べ物の語源に舌鼓を打ちながら、いつしか現在取材されている納豆の話へ。書の巻末に掲載されている、高野さんのエッセイを特別掲載いたします。(HONZ編集部) 世界のあちこちを30年近く旅してきたが、最近、人間集団──大きいものは国民や民族、小さいものは家族や学校まで──の内面的なアイデンティティを形作る三大要素は「言語」「」「音楽(踊りを含む)」ではないかと思うようになった。 私自身、外国へ行って「なつかしい」と思うのは日語、日、昔なじみの歌などであるし、多くの国の人もそうであるように見える。 ならば、と言語の組み合わせが面白くないわけがないのだが、一つ問題なのは、

    『ペルシア王は「天ぷら」がお好き?』言語と食の大海を旅する醍醐味 - HONZ
    nakagawanatuko
    nakagawanatuko 2015/09/25
    Jurafsky先生、こんな本出してたんだ。
  • 『人体600万年史 科学が明かす進化・健康・疾病』 - HONZ

    べすぎと運動不足は身体によくない、とは、つとに知られるところであり、いまさら誰かに言われなくてもわかってるよ、とみなさんも思っているかもしれないが、その一方で、そんな身体に悪いことをついしてしまい、しかもやめられないのはどうしてなのだろう、とつねづね悩んでいる人もきっと少なくないに違いない。 身体によくないことを自然にしてしまう、というのは考えてみれば不思議な話だが、そもそも人間の身体とはどういうものなのかをもっとよく考えてみると、これがまったく不思議でない、いたって当然の話となる。そのような人体に対する深い見方を提供してくれるのが、進化医学という比較的最近になって出てきた学問分野だ。 従来の医学では、病気は悪いもの、健康はよいものとされ、病気を治して人を健康にするために、おもに病気の直接的な要因と、症状への対処法が探られる。それに対して進化医学は、

    『人体600万年史 科学が明かす進化・健康・疾病』 - HONZ
    nakagawanatuko
    nakagawanatuko 2015/09/18
    “生物の長い進化の過程に病気の遠因を見いだすこのアプローチでは、必ずしも、よいか悪いかの二項対立はない。ある種の病気の症状は、じつは有益な「適応」であったりするかもしれないのだ。”
  • 『ソーシャル物理学 「良いアイデアはいかに広がるか」の新しい科学』 - HONZ

    センサなどによる詳細な観測で得たビッグデータにより、人間は他者からどのような法則で、影響を受けるのかが明らかになっているという。それを可能にしたのが「社会物理学」という新しい分野。 かつて『データの見えざる手』で話題を呼び、著者のペントランド教授と共同研究をした経験も持つ矢野和夫さん(日立製作所研究開発グループ)に「社会物理学」について解説いただきました。(HONZ編集部) 書は、Alex ‘Sandy’ Pentland教授の Social Physics: How Good Ideas Spread-The Lessons from a New Science (2014)の全訳である。 ビッグデータに関しては、最近ではたくさんの書籍が出版されている。 それらの中で『ソーシャル物理学』に書かれていることは、他書の追随を許さない高みにある。どこが違うのか。著者人には書きにくいことも含

    『ソーシャル物理学 「良いアイデアはいかに広がるか」の新しい科学』 - HONZ
  • 人、かくもたやすく悪魔になれり 『ルシファー・エフェクト ふつうの人が悪魔に変わるとき』 - HONZ

    「あなたも悪魔になってしまう可能性がある。」と言われても、自分は大丈夫だ、と思う人がほとんどだろう。しかし、このを読めば考えが変わるに違いない。いや、このを読んで考えを変えたほうがいい。 1971年におこなわれた『スタンフォード監獄実験』の責任者フィリップ・ジンバルドーが、その全貌とその後の展開を著しただ。きわめてシンプルな実験である。夏休みに大学生のアルバイトを募り、くじ引きで看守役と囚人役に振り分ける。そして、二週間にわたってスタンフォード大学心理学部の地下に設けられた模擬監獄に閉じ込める。目的は、刑務所における囚人と看守の心理状態の観察。 参加したのは、専門家によって心理的・精神的に正常であると認 められた大学生。くじびきで囚人に9名が、看守に9名が割り振られた。看守は3名ずつが三交代で「勤務」にあたる。かなり高度とはいえ、いわば「監獄ごっこ」である。なんだそんな実験か、と思わ

    人、かくもたやすく悪魔になれり 『ルシファー・エフェクト ふつうの人が悪魔に変わるとき』 - HONZ
    nakagawanatuko
    nakagawanatuko 2015/09/14
    北九州監禁殺人事件とかで監禁・洗脳されてた人の心理状態はこれに近いものがあったのだろうと推察。経験はしたくないけど理解しておきたい。
  • 『顔ハメ看板ハマリ道』ハメるにハマるは、あなをかし - HONZ

    観光名所などで、記念撮影用に設置されている顔ハメ看板。誰しも一度は写真を撮って、後から自己嫌悪に陥った経験を持っているだろう。だがそれくらいでヘコんでいるようでは、まだまだアマい。 書は、日全国津々浦々の、顔ハメ看板にハマりまくった男の活動記録である。10年前から活動を始め、ハマった看板の総数は約2000枚。まさに穴があったらハマりたい男の、ハメ撮り画像が大量流出である。 顔ハメ看板ニストを名乗るくらいだから、さすがにこだわるポイントも違う。どのような看板が、ハマりのよさを引き出すのかという観点から話が始まる。性別を越え、時代を越え、さらには生物学的分類の壁もやすやすと乗り越えたからこそ分かるポイントがあるのだ。 たとえば女性モノの看板の場合、小首をかしげているものが多い。ときにしなやかに、ときにたおやかに。その際に、看板裏側での中腰スタイルが必死なことは言うまでもない。だが大腿四頭筋

    『顔ハメ看板ハマリ道』ハメるにハマるは、あなをかし - HONZ
    nakagawanatuko
    nakagawanatuko 2015/09/11
    “顔が主張するタイプの人は一体感が出ないというから、TIPSとしても非常にタメになる。”
  • 『南洋と私』南方から聞こえる、小さな声 - HONZ

    「南洋」という言葉を耳にして、日の元占領地であることがパッと思い浮かぶ人はどれくらいいるのだろう。「南の島」といえば真っ先に浮かぶのは、透き通った海が広がる常夏のリゾートだろうか(まさに自分がそうだった)。しかし、かつて日が日教育を行い、神社を作って参拝させるなど支配を敷いていたのは東アジアだけではないのだ。 グアムを除く赤道以北の地域で、正式に日による委任統治が始まったのは1920年。それまでドイツの植民地だったこの地域は、ヴェルサイユ条約によって日の支配下となった。実際は日が第一次世界大戦に参戦した1914年から軍が占領を始めていたため、1944年まで続いた南洋統治は実質30年に及ぶという。 そうした過去があるものの、南洋の人々は一般的に親日的と言われている。これは占領時に実施された教育制度やインフラの設備などによって、島民の生活水準が向上したことによるものだ。しかし著者

    『南洋と私』南方から聞こえる、小さな声 - HONZ
    nakagawanatuko
    nakagawanatuko 2015/08/29
    沖縄の離島でも、住民が兵隊に住居・畑・家畜を奪われて山に住むしか選択肢が与えられず、大半がマラリアに罹って多くの死者を出したという被害があったし、「三等国民」に対する扱いはさらに酷かっただろうと想像。
  • 『サボタージュ・マニュアル』あなたの会社はなぜ非効率? - HONZ

    第二次世界大戦中に米国戦略諜報局(OSS)が作成したサボタージュマニュアルの翻訳である。このマニュアルは枢軸国の占領下にある市民にできるかぎり仕事を怠けさせ組織の非効率化を図ることにより、枢軸国側の占領政策を混乱に陥れ、士気の低下や軍需物資の生産力を滞らせることを目的としている。 内容としては産業機械をそれとなく故障させるという技術的面が強いものから、「常に決められた手順を守れ」「文章による指示を要求し、誤った解釈をせよ」といったマネージメントに関係する物や「トイレを詰まらせる」「鍵穴に木片を詰め込め」といった悪戯レベルのもの、さらに遅滞性の発火装置を使って火災を誘発する方法と多岐にわたる。このような行為をひとつひとつを眺める事により、組織がなぜうまく回らなくなるかを逆照射しようというのが、書の狙いであるようだ。 書の「解説」では、第五章の11「組織や生産に対する一般的な妨害」という

    『サボタージュ・マニュアル』あなたの会社はなぜ非効率? - HONZ
    nakagawanatuko
    nakagawanatuko 2015/08/19
    “このマニュアルは枢軸国の占領下にある市民にできるかぎり仕事を怠けさせ組織の非効率化を図ることにより、枢軸国側の占領政策を混乱に陥れ、士気の低下や軍需物資の生産力を滞らせることを目的としている。”
  • 【連載】『世界の辺境とハードボイルド室町時代』第2回:「バック・トゥ・ザ・フューチャー」 未来が後ろにあった頃 - HONZ

    人気ノンフィクション作家・高野 秀行と歴史学者・清水 克行による、異色の対談集『世界の辺境とハードボイルド室町時代』。第2回は「「バック・トゥ・ザ・フューチャー」ーー 未来が後ろにあった頃」について。未来の指す方向から読み解く、時間と空間の転換点とは?(HONZ編集部) ※第1回はこちら 「バック・トゥ・ザ・フューチャー」ーー 未来が後ろにあった頃 清水 日語に「サキ」と「アト」という言葉があるでしょう。これらはもともと空間概念を説明する言葉で、「前」のことを「サキ」、「後ろ」のことを「アト」と言ったんですが、時間概念を説明する言葉として使う場合、「過去」のことを「サキ」、「未来」のことを「アト」と言ったりしますよね。「先日」とか「後回し」という言葉がそうです。 でも、その逆に「未来」のことを「サキ」、「過去」のことを「アト」という場合もありますよね。「先々のことを考えて……」とか、「後

    【連載】『世界の辺境とハードボイルド室町時代』第2回:「バック・トゥ・ザ・フューチャー」 未来が後ろにあった頃 - HONZ
    nakagawanatuko
    nakagawanatuko 2015/08/15
    “そもそも中世までの日本語は「アト」には「未来」の意味しかなくて、「サキ」には「過去」の意味しかなかったようなんです。”
  • 【連載】『世界の辺境とハードボイルド室町時代』第1回:かぶりすぎている室町社会とソマリ社会 - HONZ

    8月26日発売の『世界の辺境とハードボイルド室町時代』は、人気ノンフィクション作家・高野 秀行と歴史学者・清水 克行による、異色の対談集である。「世界の辺境」と「昔の日」は、こんなにも似ていた! まさに時空を超えた異種格闘技の様相を呈す内容の一部を、HONZにて特別先行公開いたします。第1回は「高野秀行氏による前書き」と「かぶりすぎている室町社会とソマリ社会」について。(HONZ編集部) はじめに by 高野 秀行 私はふつうの人が行かないアジアやアフリカなどの辺境地帯を好んで訪れ、その体験をに書くという仕事をしている。こんなことで生活できるのはありがたいと思うが、一つ困るのは話し相手がいないことだ。 たとえば、ここ5年ほど通って取材を行っているアフリカのソマリ人。彼らは数百年前から続く伝統的な社会システムを現在でも維持しており、それに従って内戦も和平も恋愛 も海賊行為も行われている。

    【連載】『世界の辺境とハードボイルド室町時代』第1回:かぶりすぎている室町社会とソマリ社会 - HONZ
    nakagawanatuko
    nakagawanatuko 2015/08/12
    面白そうすぎる。
  • 『ロジ・コミックス ラッセルとめぐる論理哲学入門』内容と形式の間に描かれたメタな物語に驚愕 - HONZ

    作者:アポストロス ドクシアディス、クリストス パパディミトリウ 出版社:筑摩書房 発売日:2015-07-23 二つの大きな世界大戦に見舞われた20世紀前半は、激動の時代であった。その時代の激しさと呼応するように、学問の分野においても天才たちは離散と集合を繰り返し、次々とエポックメイキングな出来事が起きている。 物理学においてはアインシュタインとボーアの論争を中心に量子力学の時代が幕を開け、経済学においてはシュンペーターやケインズ、ハイエクらが新しい概念を打ち出し変革の時を迎えていた。その双方の分野に共通するのが、天才たちが直に触れ合い、時には対立しながらも交流することによって、世界の捉え方を大きく前進させたことである。 同じような動きは、数学の分野においても見られた。しかし物理学や経済学と大きく異なっていたのは、この分野の天才たちが常に狂気と隣り合わせにあったこと、そして哲学の分野に含

    『ロジ・コミックス ラッセルとめぐる論理哲学入門』内容と形式の間に描かれたメタな物語に驚愕 - HONZ
    nakagawanatuko
    nakagawanatuko 2015/08/11
    面白そう。論理哲学をマンガ化とかどうやったのか気になる。
  • 『はたらかないで、たらふく食べたい』年収80万円で生きていく - HONZ

    著者は35歳、独身。職業は大学の非常勤講師。借金は635万円。日学生支援機構から借りた奨学金だ。年収は80万円だが、これでも収入は上がってきた。大学院を出た09年から13年までは10万円だった。もちろん、現在も自力では暮らせない。埼玉県の実家で、親の年金に寄生して生きている。 「ろくでなし」、「ひとでなし」、「いいかげん働け」 と批判が飛んできそうだが、著者は拒絶する。やりたくないことはやりたくない。はたらなかないで、たらふくたべたい。合コンに行きたい。もてたい、もてたい、もてたい。を読んでごごごろしたい。通勤電車はいやだ。完全にだだっ子なのだが、著者は自らの生のうめきを過去の歴史上の思想と結びつけ、なんだか心地の良い生き方を示してくれる。 書の中で頻繁に登場するのが大杉栄だ。「アナーキストで関東大震災の後で虐殺された人」程度の認識しかない人も少なくないだろう。 赤ん坊になりたい。お

    『はたらかないで、たらふく食べたい』年収80万円で生きていく - HONZ
    nakagawanatuko
    nakagawanatuko 2015/08/04
    “なにかに夢中になってのめりこんだ経験のないひとなんているのだろうか。あとは、それがやましいことだとおもわなければいいだけのことだ。[...]そろそろ、消費の美徳とむすびついた労働倫理に終止符をうつときだ。
  • 『老人たちの裏社会』生き地獄化する余生 - HONZ

    65歳以上の高齢者の万引きの増加が話題になったのは20年ほど前だったか。当時は全体に占める割合が1割に達したことで注目を集めていた。 書によると警察庁発表の犯罪統計では高齢者による万引きは2011年には未成年者の検挙数を追い抜き、直近の公表値である13年は32.7%を占め過去最高を記録したという。万引き犯の3人にひとりが65歳以上という状況だ。人口全体が高齢化していることを踏まえても異常な増え方だ 万引きだけではない。ストーカーも60代以上の13年度の認知件数が10年前の約4倍に増え、他の世代の1.7-2.6倍に比べて高い増加率を示す。驚くべきなのは暴行の検挙数。2013年には94年比45倍超の3048人に急増している。原因も「激情・憤怒」が60%以上を占め、次点の「飲酒による酩酊」の14%を大きく引き離す。酔っぱらって、「何だ、この野郎!」と酒場で暴れる老人を想像しがちだが、当に凶暴

    『老人たちの裏社会』生き地獄化する余生 - HONZ
    nakagawanatuko
    nakagawanatuko 2015/03/20
    長生きも大変だな。
  • 戦時の嘘 『戦争プロパガンダ10の法則』 - HONZ

    最近、戦争を身近に感じる出来事が続いている。書は、国家が“国民を戦争にかりたてるために”どんな嘘をついてきたかを、歴史上の事実を列挙してつまびらかにしただ。ベースにあるのは、1928年にロンドンで出版された名著『戦時の嘘』。この比較的薄い文庫は、私たち日人が今まさに見つめ直すべきテーマについて、考えを深める契機をたくさん与えてくれる。ぜひ、ともに過ごして欲しいだ。 想像すればわかるが、戦時の嘘が通用した時代と現代では、生活者を取り巻く環境は大きく違っている。もう同じ手はうまい。そんな思いもわかる。しかし、日ごろの自分を振り返ってみると、メディアの報道やネットの情報に踊らされることがよくあることに気づく。思い起こせば恥ずかしながら、昨今相次いでいる捏造事件について、私は当初最大限の賛辞を贈った。書巻末では、現代の「洗脳」技術について、ベルギーのある漫画の言葉を引用している。 現

    戦時の嘘 『戦争プロパガンダ10の法則』 - HONZ
  • 『愛と憎しみの豚』文庫解説 by 麻木久仁子 - HONZ

    何年か前に私が出演したあるバラエティ番組で、”豚”が大議論になったことがある。お題は「肉じゃがに入れる肉は何ですか?」。スタジオの出演者は出身地別に東西に別れ、全国の視聴者から寄せられたアンケートの結果も交えつつ、正しい肉じゃがとは何かを語り合うという趣向。まあバラエティだし、それぞれのご家庭の味の思い出なんぞ も披露しながらのほのぼのトークかと思っていたのだが、これがまさかの大激論になってしまったのである。”豚”を巡って! 関東出身のわたしはもちろん、肉じゃがには豚肉。カレーにも豚肉、肉まんもコロッケも豚肉である。ハンバーグは合い挽きだけども。ところが関西出身の出演者たちは揃いも揃って豚肉を許さない。肉と言ったら牛肉でなくてはならぬと譲らない。関東勢は「まあ好みだよね。豚も牛もそれぞれ美味しいし」と寛容に振る舞っているとい

    『愛と憎しみの豚』文庫解説 by 麻木久仁子 - HONZ
    nakagawanatuko
    nakagawanatuko 2015/02/05
    沖縄の養豚には触れないのかな?
  • 『あんなに大きかったホッケがなぜこんなに小さくなったのか』 - HONZ

    ホッケの干物といえば居酒屋メニューの定番。大皿にもおさまらないくらい大きくて、仲間たちとワイワイつつく魚。家で焼こうとしようものなら、魚焼きグリルからしっぽがはみだしてしまうような。 ところが、そのホッケがいま、年々小さくなっているという。それこそアジの干物ほどの大きさに。しかも値段は高騰、居酒屋メニューのような庶民の味ではなく高級魚になってしまったというのだ。たしかに言われてみると、スーパーの鮮魚売り場で見かけるホッケは、こじんまりと品よく高い。なぜこんなことになったのか。 ホッケの漁獲量が減ってしまったのだ。もはや海に大きなホッケはほとんど見当たらなくなっているという。1998年の20万トンをピークに、2011年にはなんと!75%減のたった5万トンになってしまった。獲りすぎたのだ。 こうして獲りすぎて、いなくなってしまった魚はホッケだけではない。マイワシ、ニシン、マサバ、ウナギ…。クロ

    『あんなに大きかったホッケがなぜこんなに小さくなったのか』 - HONZ
    nakagawanatuko
    nakagawanatuko 2015/01/24
    “ノルウェーではあまりサバを食べない。が、大きくて脂ののったサバなら日本人が高く買う...。当の日本のサバは早獲り競争で小さくやせたものが多くなり、それらは養殖のエサなどとして...投げ売りされている”
  • 『ニッポンの裁判』著者・瀬木比呂志氏インタビュー唖然、呆然、戦慄、驚愕! 日本の裁判は本当に中世並みだった! - HONZ

    瀬木:『ニッポンの裁判』は、『絶望の裁判所』の姉妹書です。『絶望』が司法制度の構造的批判の書物であったのに対し、『ニッポン』は日の裁判の総体としての分析、批判を内容としています。 ですから、内容は関連していますが、相互に独立した書物です。もっとも、双方の書物を読むことでより立体的な理解が可能になることは間違いありません。その意味では、車の両輪のような関係ともいえます。 裁判所、裁判官が国民、市民と接する場面はまずは各種の訴訟ですよね。そして、その結果は、判決、決定等の裁判、あるいは和解として、人々を、つまりあなたを拘束します。 つまり、裁判や和解の内容こそ国民、市民にとって最も重要なのであり、制度や裁判官のあり方は、その背景として意味をもつにすぎないともいえるのです。その意味で、『ニッポンの裁判』は、どうしても書いておかなければならない書物だと思っていました。 裁判というものは、日人の

    『ニッポンの裁判』著者・瀬木比呂志氏インタビュー唖然、呆然、戦慄、驚愕! 日本の裁判は本当に中世並みだった! - HONZ
    nakagawanatuko
    nakagawanatuko 2015/01/15
    戦慄した
  • 『現実を生きるサル 空想を語るヒト』人間らしさを知ることは、社会の未来を見据えること - HONZ

    ヒトとその他の動物を隔てるものは何か?それを様々なアプローチで描き出していくのが、書『現実を生きるサル 空想を語るヒト』である。人間らしさの根源を突き詰めることは、すなわち人間と機械の共生が叫ばれる現代社会の将来を占うことにも、つながっていくのかもしれない。 ビックデータやIT関連書籍の翻訳を数多く手がけられ、また「シロクマ日報」などのブログでも知られる小林 啓倫さんに、書のレビューを寄稿いただきました。(HONZ編集部) 企画や営業、開発など、世の中には無数の仕事がありますが、その大部分は「人間」を相手にしています。開発の仕事でも、開発されるモノが人間によって使われるのであれば、間接的にであれ人間を相手にしていると言えるでしょう(だから人間工学のような研究が存在するわけです)。そう考えると、私たちは日々仕事を通じて、人間とは何か?という問いを突きつけられているのではないでしょうか。

    『現実を生きるサル 空想を語るヒト』人間らしさを知ることは、社会の未来を見据えること - HONZ