JINSEI STORIES 滞仏日記「先生が日本を滅ぼす日」 Posted on 2019/10/26 辻 仁成 作家 パリ 某月某日、神戸市立東須磨小学校のいじめ教師事件の続報を追いかければ追いかけるほど、単なるいじめ問題として片づけてはならない、という危機感が強くなる。一番の問題は若い教師をいじめていたのが一人ではなく四人の教師たちだという点だ。四人も大人が集まって、それはダメでしょう、と誰も言えなかったばかりか、一緒になっていじめに走った点に、集団リンチ社会の現在を見せつけられた衝撃が走る。倫理とか道徳というものが教育の現場で失われている証拠であり、一人の間違えた人間の行動ではなく、集団がそれを支援し同調していることの問題の背景に日本のいじめ構造の深刻な問題が浮き彫りにされる。もはや、いじめ問題で片づけていいのだろうか? しかも「いじめはダメだ」と教育する立場にある教師たちが徒党を