ビデオ判定に関して、いまスポーツ界は導入に向けて舵(かじ)を切っている。そこには「誤審」を防ぎ、公正なジャッジを求めようとする意図がある。大リーグでは本塁打だけでなく、アウト、セーフの判定にビデオ機器が使われ、サッカーではゴール判定に導入されている。どちらも一定の“効果”を上げているが、ビデオ導入の功罪にも目を向ける視点が大切だ。11月3日に開催された剣道の全日本選手権で、どっちつかずのきわどい判定が散見された。ところが、「ビデオを導入すべき」という意見はごく少数。たとえ審判の目に狂いがあったとしても、絶対と見なす武道の理念は揺るぎようがない。 ■微妙な判定にどよめき 43年ぶりに学生が日本一の栄冠をつかんだ剣道の全日本選手権。快挙を達成した筑波大3年の竹ノ内佑也四段と警視庁のホープ畠中宏輔五段が対戦した準決勝戦に物議をかもしたシーンがあった。 試合開始16秒。竹ノ内が鮮やかな面返し