高齢者雇用をめぐる錯綜を解きほぐすためのごく雑駁な議論として。 もともと、年功賃金が労働者の(女房子どもを含めた生活を支えるための)生活給であることは当然の了解でした。 30代くらいまでは一般的に技能があがっていくとしても、40代、50代になっても生産性が上がっていく「から」それにともなって賃金も上げろ!などと現実離れしたことを労働組合側は主張していたわけではないのです。 それに対して、かつての経営側は、そんな生産性も上がらない中高年に高い給料を払うのはおかしい。賃金は職務給にすべきだと言っていたのですね。60年代半ばくらいまでは。 ところが、ジョブ型では人事異動はじめ企業運営がうまく回らないのに気づき、職能給の年功的運用に舵を切った、とここまではよく知られていることです。 問題はここで、なんでそれまで批判していた年功制にするかを「経済学的に」正当化するもっともらしい理屈が必要になったとい