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ブックマーク / eulabourlaw.cocolog-nifty.com (338)

  • 大塚久雄とナチスとユダヤ人 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    大塚久雄といえば、戦後日の進歩的文化人の代表格で、西洋経済史の権威で、日の封建性を口を極めて批判した人として知られていますが、その彼が戦時中に極めて反ユダヤ的な言辞を弄していたことは、中野敏男が暴露するまで知られていませんでした。 このことを詳細に検証したのが恒木健太郎の『「思想」としての大塚史学』です。 それは1943年に『経済学論集』に掲載された「マックス・ウェーバーと資主義の精神-近代社会における経済倫理と近代工業力」の一節で、 ユダヤ人のうちに、かの「寄生的」(非生産力的)な営利「慾」が純粋培養に近い姿で見出されることは、ヒットラーを待つまでもなく、すでにウェーバーが、むしろ彼こそが、強調してやまなかったところである。 と、露骨にナチス賛美、ユダヤ人排撃をあらわにしていますが、戦後こういう表現はすべて温和化されて繰り返し刊行され、戦後日における経済史学の中心に居続けました。

    大塚久雄とナチスとユダヤ人 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
    namawakari
    namawakari 2023/07/21
    “ナチスを礼賛するなどという莫迦なことをやるのはそれで目立ちたいチンピラライター位でしょうし、そんなものは無視しておいても大して実害もない”トランプ以前まではそう思った。でもゴミの蓄積も馬鹿にできん。
  • 社会も葬式のたびに進歩する - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    成田悠輔氏が高齢者に集団自決を勧めたというのが話題になっていますが、たまたま別件で経済同友会の機関誌『経済同友』をぱらぱらめくっていたら、その成田悠輔氏が経済同友会代表幹事でSOMPOホールディングスCEOの櫻田謙悟氏と「生活者共創社会」について対談しているんですが、 https://www.doyukai.or.jp/publish/uploads/docs/2022_11_P03-07_toku_1.pdf そこで櫻田さんが一生懸命、 一番は、戦後に作られた価値観やルールの改革です。例えば新卒・メンバーシップ型の就職スタイル、硬直化した大学間の序列、それを是とする教育方針は、戦後のレジームそのままだと思います。これが挑戦心や好奇心をどんどん失わせています とか、 この漫然とした安心感が圧倒的に生産性を下げていたと思いました。そこでわが社はジョブ型の雇用へとシフトし始めました。 と論じて

    社会も葬式のたびに進歩する - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
    namawakari
    namawakari 2023/01/22
    これはイタイ。
  • 髙橋哲『聖職と労働のあいだ』 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    髙橋哲さんの『聖職と労働のあいだ 「教員の働き方改革」への法理論』(岩波書店)をお送りいただきました。 https://www.iwanami.co.jp/book/b606521.html 教師という職業は、なぜこれほどつらい仕事になってしまったのか? 書は、教師が主体性を奪われ、現在の異常な労働環境へと至った歴史的・法制度的構造を明らかにするとともに、多くの問題が指摘される給特法を徹底的に分析する。教師が子どもと向き合う職業であり続けるために、厳しい現状からの「出口」を示す決定版。 教師の長時間労働の惨状を訴えるは最近多く出されていますが、書はその中で、労働法の観点から徹底的に緻密な議論を展開している点に特徴があります。給特法については私も若干の小文を書いたりしていますが、ここまで詳細に論点を片っ端から叩いているはたぶんほかにないでしょう。 自分でもいくつかむかしの資料を読んで

    髙橋哲『聖職と労働のあいだ』 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
    namawakari
    namawakari 2022/06/14
    “国家公務員についてはマッカーサーの怒りの鉄拳で労働基準法が全面適用除外になってしまったのに対し、地方公務員については逆に労働基準法原則適用であって、一部の規定のみが非適用”
  • 『新・EUの労働法政策』の予告 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    今年3月に、2017年に出した『EUの労働法政策』の改訂版を刊行します。『新・EUの労働法政策』というタイトルになります。「シン・EUの労働法政策」ではありませんのであしからず。 はしがき(予定) 書は、2017年1月に刊行した『EUの労働法政策』の5年ぶりの全面改訂版である。同書自体が、1998年7月に刊行した『EU労働法の形成』(日労働研究機構)、2005年9月に刊行した『EU労働法形成過程の分析』(東京大学大学院法学政治学研究科附属比較法政国際センター)の全面改訂版であったので、最初の版から数えるとほぼ四半世紀になる。 ただ、2000年代後半から2010年代前半の時期は、新自由主義的なバローゾ欧州委員長の下でEU労働社会政策が沈滞していたため、前回版はめぼしい新規立法にいささか乏しいきらいがあった。ところが2010年代後半に入ると、ユンケル前欧州委員長が「欧州社会権基軸」を掲げて

    『新・EUの労働法政策』の予告 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
    namawakari
    namawakari 2022/01/23
    昨日買って翌日に改訂版発売予告か…
  • 今年1年間『労働新聞』で12冊を書評 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    今年は1月から、『労働新聞』紙上で毎月1回、「Go to 書店」という書評コラムを書くことになりました。12冊の選び方に対してはいろいろとご意見のあるところかもしれませんが、わたくしとしては毎回楽しく書評させていただきました。 松永伸太朗 『アニメーターはどう働いているのか』 書は令和2年度労働関係図書優秀賞を受賞した作品だ。著者には昨年12月、私の司会で労働政策フォーラム「アニメーターの職場から考えるフリーランサーの働き方」の基調講演とパネルディスカッションにも出演していただいた。 昨年来のコロナ禍で、フリーランス対策は政府の大きな課題になりつつあり、その中で注目を集めているのが、書のテーマであるアニメーターである。何しろ、いまや日の国策となったクール・ジャパン戦略の中核に位置するのが、最も競争力のある輸出財ともいわれる日のアニメだからだ。 アニメーターといえば、一昨年にNHKの

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  • 労働協約は合法的なカルテル - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    最近、『改革者』の表紙にどこかで見たような顔を発見することが多いのですが、12月号の表紙にでかでかと載っているのは、古川景一弁護士の顔ですね。 http://www.seiken-forum.jp/publish/top.html 12月号特別インタビュー 地域拡張適用、三十二年ぶりに実現─ 労働協約の機能を社会にひろげる ─ 古川景一 インタビュアー熊谷謙一 連合OBで今は日ILO協議会の熊谷謙一さんがインタビューしています。中身は言うまでもなくUAゼンセンの労働協約の地域的拡張適用の話で、既にいろいろ報じられていますが、その中で古川さんがこう述べているところが、紹介する値打ちがあります。 熊谷 労働協約は労使双方にメリットがある制度ですが、使用者側にはそれをどう伝えようとされているのですか。 古川 一言で言えば「合法的なカルテルである」ということです。この言葉は私が作ったのではなく、

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    namawakari
    namawakari 2021/12/09
    “熊谷 つまり使用者側のメリットとしては、労働条件ノ切り下げによる過当な競争が発生してしまうことを合法的なカルテルで防ぐことですね。・・・”
  • 春田吉備彦+全駐留軍労働組合中央本部『基地労働者から見た日本の「戦後」と「災後」と「今後」』 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    春田吉備彦+全駐留軍労働組合中央部『基地労働者から見た日の「戦後」と「災後」と「今後」』(労働開発研究会)をお送りいただきました。 これ、新書版の割と薄いちっぽけなですが、中身はとても詰まっていて、すごい充実感があります。 なんといっても、基地労働者という戦後日の「死角」からいろんな物事が浮かび上がってくる感じがすごいです。 知っている人は少ないでしょうが、基地労働者は指揮命令するのは米軍ですが、雇用するのは日政府という労働者派遣システムで、派遣法ができるずっと前から占領下で形作られた仕組みが維持されてきたのですね。 このため、基地内は日の法律が通用しないアメリカの一部のような面もあり、それがいろいろな問題を引き起こしていることが詳しく語られます。 一方で、これはやや私の視点に引き付けた読み方ですが、近ごろはやりのインチキな「キラキラ」系ジョブ型論とは対照的な、まことに地味なし

    春田吉備彦+全駐留軍労働組合中央本部『基地労働者から見た日本の「戦後」と「災後」と「今後」』 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
  • 許可制は健全で届出制は不健全? - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    朝日の夕刊に「性風俗業は「不健全」か コロナ給付金巡り、国「道徳観念に反し対象外」」という記事が載っていて、この問題自体はブログでも厚生労働省の雇用助成金と経済産業省の持続化給付金の取り扱いの違いについて論じてみたことがありますが、 http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2020/04/post-b631f8.html(新型コロナと風俗営業という象徴) ・・・雇用助成金の時には、風俗営業だからと言って排除するのは職業差別だとあれほど騒いだ人々が、岡村発言の直後にはだれも文句を言わなくなってしまっているというあたりに、その時々の空気にいかに左右される我々の社会であるのかがくっきりと浮かび上がっているかのようです。 日はその件ではありません。 https://www.asahi.com/articles/DA3S14941351.html(性風

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  • EUのデューディリジェンス指令案への動き@『労基旬報』2021年5月25日号 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    というわけで、例のユニクロのウイグル製シャツがアメリカで輸入禁止になったというニュースの醒めやらぬ中ですが、「EUのデューディリジェンス指令案への動き」というのを寄稿していた『労基旬報』5月25日号が届いたので、どういう話になっているのかごく簡単に紹介しておきましょう。 近年、「デューディリジェンス」という言葉がよく聞かれます。文字通りの意味では「企業に要求される当然に実施すべき注意義務および努力」を指しますが、とりわけ今日問題となっているのは、そのグローバルなサプライチェーンにおいて労働者,人権,環境といった側面で有害な影響を与えていないかをきちんと監視すべきという点です。ごく最近も、中国の新疆ウイグル自治区で生産された綿を使った繊維製品が強制労働によるものとして人権団体から批判され、強硬な中国との間で板挟みになった企業がありました。 この問題を公的な立法政策として進めようとしているのが

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  • ジョブ型の基礎の基礎復習(産経新聞と朝日新聞のインタビュー) - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    コロナ禍で緊急事態宣言が延長される今日この頃ですが、変なジョブ型論がまかり通っているという点では昨年と相変わらずの状況で、人もいい加減にしたいのですが、やはり昨年産経新聞と朝日新聞というある面では対極的なメディアで、全く同じような趣旨のインタビュー記事に登場したのを、再三お蔵出ししないといけないようですね。 https://www.sankei.com/premium/news/201014/prm2010140001-n1.html(間違いだらけの「ジョブ型」議論、成果主義ではない…第一人者・濱口桂一郎氏が喝!) 新型コロナウイルス禍でのテレワーク拡大で社員の評価が難しくなっていることを受け、日企業の雇用システムを欧米流の「ジョブ型」に切り替えるべきだとする議論が新聞や雑誌で盛んになっている。だが、ジョブ型の名付け親で、労働問題の第一人者として知られる濱口桂一郎労働政策研究・研修機構

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    namawakari
    namawakari 2021/05/09
    基本事項として。
  • 中国の左翼は日本の右翼または張博樹『新全体主義の思想史』 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    アメリカバイデン政権になって、米中対立が格的に専制対民主の対立になりつつある今、前から気になっていながらそのままになっていた張博樹『新全体主義の思想史』を通読しました。 https://www.hakusuisha.co.jp/book/b452526.html 習近平体制を「新全体主義」ととらえ、六四以後の現代中国を壮大なスケールで描く知識社会学の記念碑的著作。天安門事件30年を悼む 著者の張博樹さんは、中国社会科学研究院を解雇され、コロンビア大学で現代中国を講じている言葉の正確な意味でのリベラル中国知識人ですが、そのリベラル派から新左派、毛左派、紅二代、ネオナショナリズムに至るまで、現代中国の9大思潮を、時にはそのインチキなロジックを赤裸々に分析しながら描き出した大著です。 著者を含むリベラル派については、訳者の石井知章、及川淳子さんらによる紹介がされていますし、妙にポストモダン

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  • 労務屋さんに『団結と参加』を取り上げていただく - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    先月刊行した『団結と参加』を、ようやく労務屋さんに取り上げていただきました。 https://roumuya.hatenablog.com/entry/2021/04/24/151722 実は数日前、都内某所で、財界や学界の皆様に、例によっていい加減なジョブ型論を叩くみたいな話をしに行ったところ、なんと労務屋さんがでんといらして、「久しぶりに会社に行って、山のようなと一緒に、書を受け取ったので、そのうちブログに書きます」とのことでした。ここ数日、怒濤のごとく献呈の紹介を書かれていて、ようやく拙著の番が回ってきたようです。 まあ、集団的労使関係の歴史なんて、自分でも今時人気のないテーマであることは重々承知ですが、でもこういうのは必要だよね、というつもりで書いておりますので、労務屋さんのこういう言葉は大変ありがたいエールとして身にしみます。 某財閥系シンクタンクの研究会で若手からベテラン

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    namawakari
    namawakari 2021/04/24
    “その都内某所に呼ばれる際には全然存じ上げなかったのですが、行ってみたら、私を呼んでジョブ型の話をさせろと提起されたのは本田由紀さんだったそうです”
  • 麒麟も老いては・・・ - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    文春オンラインに伊藤隆氏のインタビュー(インタビュワー:辻田 真佐憲)が載っていて、あの(!)伊藤隆がこんなそこらのネトウヨじじいみたいなことばかり口走るようになったのか、といささか感慨深いものがありました。 https://bunshun.jp/articles/-/44645 というのも、彼の出世作ともいうべき伊藤隆『大正期「革新」派の成立』(塙書房、1978年)は、私にとっては近代日史を理解する基枠組みを与えてくれたであり、実を言えば私の『日の労働法政策』第1章で示している歴史観は、少なくともその戦前から戦中、戦争直後にかけての時代認識は、このによるインスピレーションを元に、ミクロな一つ一つの事実を積み上げて作り上げたものだからです。 おそらく今の若い人にとって伊藤隆という名前は「つくる会」の右翼じいさんというくらいの印象しかないかもしれませんが、それこそ当の意味で平板な

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    namawakari
    namawakari 2021/04/18
    石川淳の永井荷風追悼文「敗荷落日」に「肉体が滅びる前に精神が死んでいた」といったことが書いてあるが、まさにそれか。でも、なんでそんなに耄碌しちゃうんだろうなあと。ホントに不思議。
  • 木下武男『労働組合とは何か』 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    木下武男さんの『労働組合とは何か』(岩波新書)をお送りいただきました。ありがとうございます。 https://www.iwanami.co.jp/book/b559580.htmlでは「古臭い」「役に立たない」といわれる労働組合。しかし世界を見渡せば、労働組合が現在進行形で世界を変えようとしている。この違いの原因は、日に「当の労働組合」が存在しないことによる。社会を創る力を備えた労働組合とはどのようなものなのか。第一人者がその歴史と機能を解説する。 しかし、書については、「ありがとうございます」で済ますわけには生きません。 「労働組合論という今どきあまり関心を持たれない」(あとがき)テーマを一般向けの新書で取り上げたという意味では、昨年の『働き方改革の世界史』を書いた私としては、おざなりではなく、疑問点をいくつも提起しておくべきだと考えるからです。 ジョブ型雇用の希薄な日でジ

    木下武男『労働組合とは何か』 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
    namawakari
    namawakari 2021/03/28
    重要論点頻出。“急進的な企業主義的組合だからこそ、それが左右のベクトルを変えれば生産性向上運動に邁進する企業主義的組合にもなるという、このメカニズムこそが、戦後日本の労働運動史を理解するための鍵”
  • 渋沢栄一と労働問題(再掲) - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    いよいよ大河ドラマが始まり、新一万円札に内定している渋沢栄一が(なぜか徳川家康とともに)出てきたので、 一万円札が話題になったときにブログで彼を取り上げたエントリ2題を再度再掲しておきます。二部構成になっていますので、最後までちゃんと読むこと。 http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2019/04/post-7677.html (渋沢栄一の工場法反対論) なにやら、お札の顔が変わるという話があるようで、1万円札の福沢諭吉の次は大隈重信・・・とはならないで、渋沢栄一という名前が挙がっているようです。 渋沢栄一who? 概略はWikiを見ればわかりますが、そこに書かれていない労働法関連のエピソードを一つ。 拙著『日の労働法政策』414ページにも一部引用してありますが、彼は明治29年(1896年)の第1回農商工高等会議の席で、「職工ノ取締及保護ニ

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  • 労働運動はプチブルである件について - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    昨日紹介した『経営法曹研究会報』の創刊第100号記念特集号のパネルディスカッションの中で、いろいろと面白ネタについて喋っていますが、その中で昨年の『働き方改革の世界史』に絡んでお話しした部分を。労働運動というのはそもそもプチブルの運動なんですよ。 緒方 先ほどのご講演で労働力が商品であるというお話がありました。資主義社会の中ではブルジョワジーとプロレタリアートがいて、持たない者が労務の提供を商品にして対価を得るというのが、雇用契約というか、資主義社会の中の基的な、原理的な考え方ではないかと思います。それと、先生の先ほどのご講演で、労働力と独占禁止法との関係があって、取引契約の基を据えて、交渉力を付けるために集団カルテルを認めたというお話がありました。労働力の商品とその関係がどう関連するのかをもう少し教えていただければと思います。 講師・濱口 これは最近出た『働き方改革の世界史』とい

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    namawakari
    namawakari 2021/02/18
    “団結というのは、つまり、別の言い方をすれば談合です。弱いプチブルが談合して、この値段以下では売らないぞと言っているわけです。それが労働運動の出発点です”
  • 法学こそ価値判断まみれのはずなんだが・・・ - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    恐らくこういうのが世間一般の印象なのではないかと思うのですが、 https://twitter.com/labourstandards/status/1359120602225803270 人文学や政治哲学に違和感を抱くのは、例えば「リベラリズム=良い」とか「でもこんな悪いところもある」とか「ナチズムは悪い」「でも我々の中にも潜んでいる」とか何故か価値判断を一々挟んでいるところ。法学にはあまりそれを感じない。 でもね、それこそいろんな学問の入門書の基礎の基礎のところをちらりとでも読めばすぐわかるように、法学、少なくともその主流である法解釈学こそが、徹頭徹尾価値判断を追求している学問であり、それゆえに法解釈学は科学ではなく、傍流の法社会学が「科学としての法律学」を訴えるということになるわけだし、その対極に位置すると考えられている政治学とか経済学とか社会学といったいわゆる社会科学というのは、そ

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  • 管理職自体よりも管理職になるつもりの管理職未満の問題 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    下の女性活躍のエントリを書いた時には気が付いていなかったのですが、昨日から山口一男さんとショーンKYさんの別垢との間で、労働問題の論点的には興味深く、ネット炎上ネタとしてはやや陳腐なやりとりがあったようです。 https://togetter.com/li/1659464 KYさんには私もいろいろと評論されているのですが、世界共通の上層の裁量的だけどハードな仕事と上層じゃない層の非裁量的だけどハードじゃない仕事という労働分割構造でもって、日をそのまま分析すると話がずれてくるというのが一番大きな問題ではないかと思われます。 医療の世界は日もある意味ジョブ型であって、医者は初めから医者であり、病院の上層部をなし、仕事の内容に関しては裁量性が高いが労働時間等極めてハードであり、それゆえ多くの女性は(仮に全く男女均等であっても)リラクタントであり、それゆえ実質的に医師という職業の採用段階である

    管理職自体よりも管理職になるつもりの管理職未満の問題 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
    namawakari
    namawakari 2021/01/30
    “この、欧米ジョブ型社会と共通の問題と、日本のメンバーシップ型社会独自の問題とを的確に切り分けて議論していかないと、ややもすると言葉尻を捕まえたやりとりで妙な炎上が発生するのではないかと思われます”
  • 笹沼朋子「セックスワーカーの労働者性に関する覚書」@『愛媛法学会雑誌』47巻1号 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    『愛媛法学会雑誌』47巻1号に掲載されている笹沼朋子さんの「セックスワーカーの労働者性に関する覚書」は、昨年コロナ禍の中でブログでも何回か取り上げたことのあるトピックを論じていて、興味深いものです。 冒頭、例の岡村隆史さんの発言が出てきて、それに対する藤田孝典さんの激烈な批判があり、さらにそれに対するSWASHの要友紀子さんの痛切な批判が出てきて、こういう大学紀要を読むような奇特な人々に対する分かりやすい状況説明がされています。 等しくセックスワークに従事する者に対するコロナ禍での助成制度が、厚生労働省の場合は当初除外していたのがSWASHなどの批判を受けて対象に含めることとしたのに、経済産業省の場合は除外し続け、その理由付けに藤田さんのような議論が使われているというのは、ずっと追いかけている人にとっては基的な知識ですが、一歩外に出ると必ずしもそうではないからです。 的確に要約できる自

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  • 今さら聞けない「ジョブ型」雇用ってなに?【山本紳也×倉重公太朗】 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    八面六臂の弁護士倉重公太朗さんが日アップされた対談の相手に選んだのは、伝説の人事コンサルタントこと山紳也さん。 山しんやというと、山晋也監督の真面目な社会学を思い出してしまうのは年のせいでしょうか。 それはともかく、さすが倉重さんが見込んだ対談相手だけあって、認識がことごとく的確です。 https://news.yahoo.co.jp/byline/kurashigekotaro/20201208-00211458/ どれぐらい的確かはリンク先をじっくり読んでいただくとして、なぜそういう的確な認識に至ったかを物語っているところが、私自身の経験と交錯して大変共感しました。 倉重:今日は「今さら聞けないシリーズ」みたいな感じです。よく新聞で出てくるけれども、いまいち分からないという方も結構いると思うので。そもそもの出発点として、日型雇用は「メンバーシップ型」だと言われますが、これは一

    今さら聞けない「ジョブ型」雇用ってなに?【山本紳也×倉重公太朗】 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
    namawakari
    namawakari 2020/12/11
    “英語で日本の人事管理のテキスト…を喋っていると、お前の言っていることは全然理屈が通っていなくてさっぱりわからんと…なぜ彼らには、…通じないのかを必死に考えざるを得なかった”