「お前は何をやっているんだ。こんなこともできないのか」 いきなり怒声が聞こえて、一瞬身体が固まった。 キャラクターグッズのショップには似つかわしくない、男の人の感情的な怒鳴り声だった。 声の方に目を遣ると、うなだれる男性スタッフと、怒声を浴びせる上司、もしくは先輩スタッフとおぼしき男性がいた。 私は、ほしい商品が見つけられなくてスタッフを探しているところだったが、多くのお客がいる中、従業員を叱責する行為を目の当たりにして、探し物を尋ねることもできずに立ちすくんだ。 自分が叱られているわけではなくても、自分が叱られているような気持ちになる。 嫌だ、聞きたくない。けれど叱責は終わらない。 こんなにお客に聞こえるように大声で叱るのは、うちは社員教育を徹底してますというアピールなんだろうか。 それともスタッフに舐められないようにする為の威嚇だろうか。 不快だった。教育や指導の為というより、自分に酔