三國陽夫さんという格付け会社三國事務所の代表者を前から知っています。独自の情報ルートをもち、物事の本質に迫る分析で独特の存在感を示されておられる方で、数年前ですが私もお話をしたことがあります。 その三國さんが昨年末に「黒字亡国」(文春新書)を出版され、私も拝読する機会がありました。現在の日本社会のデフレ経済を歴史的観点、比較史観で的確に分析し、処方箋として、対米黒字を減らし、日本人が稼いだ金を米国にドルで預けて彼らに好き勝手に使われるのではなく、国民生活の豊かさのために使いなさい、でないと、米国から資金回収は出来ないどころか、円高でせっかく稼いだドル資産が大きく目減りすることになりかねませんよ、という警鐘論文です。 今日と同じ事態は、実は日本の歴史上でもあったのであり、「アメリカが第一次大戦中に金の輸出を禁止している間に、日本が大きな黒字を計上し、同時に多額のドルの輸出代金を抱えた。金と切