2010年、岡田正義氏が審判を引退した。それまでJ1リーグで笛を吹いたのは336試合。同年までに岡田氏以上の試合出場数があった選手は、26人だけだった。つまりほとんどの選手よりも多く、岡田氏はJリーグに「出場」を続けたのだ。 リーグ戦、カップ戦を合わせ546試合。チャンピオンシップやゼロックススーパーカップなどで17試合。さらにクラブの国際試合で17試合、そしてワールドカップを含む国際Aマッチで50試合。合計630試合で岡田氏は笛を吹き続けた。 だが、それだけの実績を持つ岡田氏でも、引退はセレモニーも何もないひっそりとしたものだった。それどころかJリーグがスタートしたころは、笛を吹くのに有給休暇を使いながら休みをやりくりし、何とかピッチに現れるという厳しい環境だった。そんな審判の苦労はなかなか表には出てこない。 笛を吹く試合が割り当てられず、悩んだこともあったそうだ。サポーターの姿を見て心