“チキンタックス”と言っても、一般の読者には聞きなれない言葉かもしれない。時は1963年にさかのぼる。当時ドイツ政府は米国産冷凍鶏肉の輸入に対して、不平等な関税を課していた。米国政府は報復として、でんぷん食品、ブランデー、小型トラックに25%の関税を課した。主にドイツから輸入されていたフォルクスワーゲンの小型ピックアップトラック(以下、ピックアップ)の輸入を制限するのが狙いだった。79年には報復関税は撤廃されたが、ピックアップへの25%の輸入関税は、現在も存在する。これが、いわゆるチキンタックスと呼ばれる関税のことだ。 チキンタックス戦争によって、価格競争力を失ったフォルクスワーゲンはもとより、日産自動車も、当時“ダッツン・トラック”として親しまれていた1トンサイズのダットサン・トラックの輸出を中止せざるを得なくなった。その後、米国で販売される小・中型のピックアップはすべて米国の現地生産車
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