これまでの人生で関わってきた大抵の人とは、あとには何も残らないような関係しか築けなかったのだけれど、いま考えてみると、それは当然といえば当然なのだった。人間関係それ自体を目的とした関係は、表面上、私の求めるところではなくて、その人の能力、意志、社会的な居場所なんかを志向して、そのたびごとに短期プロジェクトをつくっては解散させてきたようなものだった。 何か一緒に仕事をしても、私が求めるように見えるのは人となりでなく能力や労働だから、仕事という鎖が解消されれば、私と彼らをつなぎとめるものも消えてしまう。生きづらい環境で傷を舐めあう仲間を見つけても、私が惹かれていると考えるのは彼らのキャラクターでなく機能なのだから、卒業や異動によって環境が変わると、関係は途絶えてしまう。 そんなわけだから、人間関係を求めない私が人から求められることも滅多になかった。遊びや飲みに行くにしても、自分から声をかけない
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