「実に悲劇的だ。木工職人に『木材が無くなってしまった。棚を作るのに在庫を使い果たしてしまったら、そのときはバイオリンを作れ。それも金と同じくらい希少価値のある材料で』と言っているようなものだ」と言うのは、ベルリンの写真家ローラント・ヴィルツさんだ。ヴィルツさんは、2004年以来イルフォード・イメージング・スイス社(Ilford Imaging Switzerland、以下イルフォード)の製品を使ってきた。イルフォクロームペーパーに大型の拡大写真を現像するだけでなく、同社が開発した現像処理機材にも信頼を寄せている。 全てはこの夏に始まった。フリブールに近いマルリー(Marly)に本社を置き、50年前から写真用品を専門に扱ってきたイルフォードが、親会社である英国企業パラダイム・グローバル・パートナーズ社(Paradigm Global Partners)から資金援助を打ち切られ、従業員230人