今から100年ほど前、ドイツに「シュレーディンガー」と言う王様がいました。その王様は、たいそうイタズラ好きで、無理難題を考えては、領民を困らせていました。 ある時、箱のような装置を作り、町一番の天才を呼び付けて、こう言いました。 シュレーディンガー 「この箱の中には、放射性原子とそれが分裂したかどうかを検出する装置、そして、毒ガスと猫が入っておる(図1)。原子が分裂すると、検出器が作動して毒ガスが出る。当然、猫は死ぬことになる。さて、ここで問題じゃ。この箱を開けずに、中にいる猫を生け捕りにしてみよ。」 またもや、無理難題です。箱を開けずに猫を生け捕りにすることなど、出来るはずがありません。町一番の天才は、しばらく考えてこう言いました。 町一番の天才 「生け捕りにするためには、捕獲作業を始める段階で、生きていると言う保証が必要です。箱を開けずに、生きているという証明をしていただければ、作業を