ずばりタイトルの通り、本書は視覚障害者が世界をどのように認識しているのかについて迫っていく本だ。目が見えない人とその関係者数名に対して行ったインタビュー、ともに行ったワークショップ、日々の何気ないおしゃべりなどを通して、晴眼者である著者が彼らをとりまく「見えない世界」について考えていく。 盲人の生活について書かれた本はこれまでにも色々出ている。パッと見それほど珍しいテーマには思えない。しかしまえがきを読むと、本書が一風変わった切り口から書かれていることがわかる。 本書は、広い意味での身体論を構想しています。ただし、これはあまり前例のない身体論かもしれません。一般に身体論では健常者の標準的な体を扱います。ところが本書では、「見えない」という特殊な体について考えようとしているわけですから。 本書はいわゆる福祉関係の問題ではなく、あくまで身体論を扱った本であるということだ。「障害者とは、健常者が