北九州市の食品会社が定年を迎える社員に、再雇用(継続雇用)の条件として賃金を25%相当に減らす提案をしたのは不法行為にあたるとして、会社に慰謝料100万円の支払いを命じた福岡高裁の判決が確定した。佐藤明裁判長は再雇用について「定年前後の労働条件の継続性・連続性が一定程度確保されることが原則」との判断を示した。 判決は昨年9月7日付。原告、会社双方が上告したが、最高裁が3月1日にいずれも不受理の決定をして確定した。原告代理人の安元隆治弁護士らによると、再雇用後の賃金引き下げを不法行為とした判決が確定したのは初とみられる。再雇用をめぐる企業の実務に影響しそうだ。 判決によると、原告は食品の加工・販売を手がける九州惣菜(そうざい)(北九州市門司区)に2015年まで40年余り正社員として勤めた。60歳の定年時は経理を担当し、月給は約33万円だった。同社は、再雇用後は時給制のパート勤務とし、月給換算