この本は、まるで私のためにあるような本だと思いました。それくらい私は、いつもいつも「しまった!」と言って生きているのです。気の休まるひまもありません。 そういう私のようなミスを犯しがちな人間は、いったい何がいけないのか? 本書を読むと色々なことがよく分かってきますが、同時に少々絶望的なのは、「しまった!を少なくするのは、けっこう難しいことだ」と悟らされるところがあります。相当の努力をしても、減るのはせいぜい「しまった!」と叫ぶ回数にすぎません。ちょっとばかり、コストパフォーマンスが悪いようなのです。 しかし本書には、もうひとつ大事な特徴があって、通読すると、「人間の記憶について」詳らかになってくるのです。一つ一つの知識については、多くの人がすでに知っていそうなことがほとんどですが、本書の切り口に従うことで、「自分の記憶力をどうするべきか」についてのヒントがたくさん得られます。 失敗と時間の