――早速お聞きしたいのですが、そもそも月って一体何なのでしょうか? 寺田先生(以下、寺田):そうですね。まず、教科書的には月は一つしかありません。 ――教科書的には、というと? 寺田:僕ら宇宙地球科学の分野では、惑星の周りを回っている物体を衛星と呼びます。月は地球の衛星です。この定義に該当する衛星は、太陽系の中だけでも現時点で300個ぐらいあります。 ――300個も! 私たちが普段「月」と呼ぶ星の他にも、たくさんの月があるんですね。 寺田:時々ふらっと地球の近くにやってきて、またどこかに飛んでいってしまう小さな岩のようなものも地球の衛星といえるので、「月の一種」と言えるかもしれませんね。大きさが2~3mぐらいのサイズのものもあるので、こういう月も含めてしまうと、「月を壊すことはそれほど大それたことではない」ということになります。 ※以降、一般的な月のみカギカッコ付きの「月」、宇宙地球科学で