政治家は領土を保全できなければ、国民の生命財産の保護もできないという印象を与えてしまいます。これは人間の自己防衛本能に直結していますから、オートマティックな説得力を持つわけです。逆に領土問題に熱心な政治家は、この本能の部分で共感を得ることができることになります。 古今東西の政治家の間で領土問題に熱心になる人物が多いのは、このためです。仮に領土ナショナリズムを煽ることが、その国の国民の民生の向上に寄与するものではなくても、煽れば煽るほど政治的な求心力になる、領土ナショナリズムはそのような性格を持っています。 場合によっては、国民にとってより重要であり、その政治家としてむしろ優先して解決しなくてはならないテーマから「逃避」するために、大局的な優先順位というより政治家個人の利己的な動機で、必要以上に領土ナショナリズムに「のめり込む」政治家もいるわけです。そもそも対立エネルギーに火をつけること自体