原告も被告も知人という私にとっていささか複雑な民事裁判の一審が終った。 訴えていたのはカルト問題の第一人者である浅見定雄・東北学院大学名誉教授。被告は宗教ジャーナリストの室生忠氏とその原稿を掲載した『創』の篠田博之編集長。昨年十二月十七日に行われた判決公判は原告側の勝訴を示し、被告側に九十万円の損害賠償金の支払いと『創』誌への謝罪広告の掲載を求めた。 論点の核心は、室生氏が主張したように統一教会信者(注)などに対して「強制説得」を指導する組織が「全国霊感商法対策協議会」であり、浅見氏が「請負人」かつ「世話人」として活動してきたかどうかにあった。判決文は、被告側の主張を詳細に検討したうえで「理由がない」と判断し、結論的にこう書いている。 「原告は、前記のとおり、長年にわたり統一協会等の信者の親族らから依頼されて相談に乗り、あるいは信者自身に対し統一協会等からの脱会を説得してきたものであ