1964年、広島県出身。青山学院大学国際政治経済学部卒。 1989年、津原やすみ名義で少女小説作家としてデビュー。また一時期、代々木アニメーション学院にて講師も務めていた。 1996年、少女小説を引退。翌年、『妖都』で津原泰水として再デビュー。
夢が夢であるための条件、少女が少女であるための。小さな胸の第七官界は遥けき恒星の営みをも掬いとる。今夜すべての苔は恋をする、今月号は尾崎翠。 先月号が中原中也だったので、今回は誰にしようか何にしようか、ちょっと迷っていましたが、尾崎翠。尾崎翠のこと、っていうか「第七官界彷徨」についても、ちょっと。 尾崎翠は1896年に生まれて1971年に亡くなりました。鳥取県生まれで、後に上京して文学活動を始めました。 それまでの、いわゆる自然主義と呼ばれる、ありのままをありのままに表現したり書き写したりする文学の傾向に「つまらな〜い」と感じたのかどうかは定かじゃないけれど、まあ自分の感覚に忠実に、記憶、体験、実感、映画や音楽や演劇や色彩など、もうとにかく自分の感覚が反応するところ、それらを見事に織り上げ、夢見る夢子でどこが悪いのよと言わんばかりに、幻想的で、ユーモアたっぷりの彼女独特の世界を作り上げ
「この映画はなんだ?」 1998年秋、尾崎翠の出身地・鳥取で上映された先行試写会を見た人たちの感想はこのような戸惑いであった。ロケ撮影に協力したボランティアや一般市民は、瑞々しく活写された山陰風景に感動しながらも、目まぐるしく輻輳する場面転換について行けなかったのであろう。凛としたタイトルは鳥取の書家・柴山抱海である。 映画はオーソドックスな時間の流れや起承転結を無視して、現在から過去、死から生へと自在に往還する。冒頭は性の越境者たちが集うパーティー会場。一角にあるテレビ・モニターで不思議な映像が始まり、それに気付いた若者たちが見ていると、翠の人生が晩年の鳥取時代から作家活動をしていた東京時代へと遡りながら映される。モニターにはさらに翠の代表作「第七官界彷徨」が断続的に挿入され錯綜したストーリーが進行する。 つまり映画は翠の人生と文学と、それを尋ねる現代の若者という三本の縒り糸で構成し
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