「アバター」のストーリーがあまりにも読めすぎてしまうものだっただけに、一見ありきたりな設定から意表を突く話へと突き進むSFはないものかとあれこれ思いを巡らせたとき、その最右翼として浮上したのが奇才エリック・フランク・ラッセルの短編集『わたしは”無”』でありました。絶対予想通りの結末にはしないぞという作者の熱い思いが伝わってくる(笑)傑作短編集であります。 ・・・SF小説の分野では、宇宙を駆けるロケット船、その乗務員がさまざまな障害を乗り越えて勝利をおさめる、というテーマがいろいろな形で取り上げられている。本書では、何のむくいもないままに終わる災厄の物語をご覧になるに違いない。 触手を持ち、皿のような目をもった怪物のテーマについてもたびたび取り上げられており、それが人類を脅かす、というのが大方の場合である。だがここにはそれとは正反対な物語がある・・・・ これは『わたしは”無”』(原題Some