リトビシコ・タラス・ニコライエビッチ(65)、マカロフ・アレクサンドル・レオニドビッチ(67)、メランチェコ・アレクサンドル・ケナジエビッチ(70)――。2017年当時、北朝鮮の秘密警察、国家保衛省に務めていた脱北者が「北朝鮮で働くウクライナ人科学者」だと明かした人々の名簿だ。名簿は計9人にのぼった。 別の元北朝鮮外交官だった脱北者によれば、北朝鮮は1991年12月のソ連崩壊で職を失ったウクライナやロシアなど旧ソ連の科学者約50人を雇った。核とミサイル開発が目的だった。金正日総書記が指示し、「北朝鮮に来てくれれば、米国に行く場合の2倍の給料を保証する」という条件で個別にスカウトした。 科学者らには、首都平壌の北朝鮮エリート層が住む中区域にある栄光駅そばと、金日成主席が生まれた「聖地」がある万景台区域に、それぞれ新築の高級アパートをあてがわれた。こうした人々の一部は死亡し、一部は本国に戻った
2月8日、平壌で朝鮮人民軍創建70年の軍事パレードが開催された。朝鮮中央テレビが放送した映像には、北朝鮮の新型弾道ミサイルがずらりと登場している。2017年に発射された中距離弾道ミサイル「火星12」、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星14」、そして17年11月末に発射されたばかりの同「火星15」などが複数、含まれていた。 ≪ウクライナで協力者を獲得?≫ 「火星」シリーズのベースは、冷戦時代に開発・製造されたソ連の弾道ミサイルだ。エンジンは、ウクライナ国営の航空宇宙専門の設計事務所「ユージュノエ設計局」が製造したICBM用RD-250型エンジンの改良型である。移動式発射台は、ベラルーシの軍事車両メーカー「MZKT社」のデザインに酷似している。ベラルーシとウクライナはいずれもソ連時代の弾道ミサイルの重要拠点だった。 制裁にもかかわらず、北朝鮮はなぜこのような能力を獲得できたのか。 米タイム誌
10月下旬、地域銀行のトップと金融庁幹部との会合で、次のような脈絡のない要請が金融庁幹部から発せられた。 「政府全体として、12月の露プーチン大統領の訪日に向けて、ロシア案件についてこれまで以上に力を入れていることは理解いただけると思う。地域において、取引先企業がロシアに進出している、あるいは進出を考えているところもあると思う。政府としても、必要に応じて皆さんと情報共有していきたい」 この日のメインテーマは、金融庁が打ち出した地域金融機関を対象にした「金融仲介機能のベンチマーク」や「経営陣との対話の促進」など、今後の金融行政の方針についての意見交換だった。そのなかで唐突にロシアへの金融支援が飛び出したことに違和感を覚えた地域銀行幹部は少なくなった。 参加者からは、「海外業務を積極的に手掛けるメガバンクならわかるが、我々のようなドメスティックな地域銀行に対してもロシア案件への支援を要請してく
冷静な語り口でウクライナ情勢を分析し、テレビで引っ張りだこの東大先端科学技術研究センター専任講師の小泉悠(ゆう)氏(39)。3月4日に3番組をハシゴ、翌々日は「NHKスペシャル」に出演した。だが彼にはテレビでは見せない素顔が――。 大学での仕事も忙しいという 「紛れもなくロシア研究の第一人者ですよ」 こう断言するのは、小泉氏が19年、『「帝国」ロシアの地政学 「勢力圏」で読むユーラシア戦略』(東京堂出版)で受賞したサントリー学芸賞の選考委員の一人。 サントリー学芸賞受賞作 「国際関係、文化、思想に精通し、ロシア人のメンタル構造を理解した上で軍事問題を論じる。自身で『軍事オタク』と言っていますが遥かに視野が広い」(同前) 同業者も絶賛する能力は、いかにして磨かれたのか。小泉氏に電話すると「僕、ガタガタな人生を送っているので」と苦笑しながら研究の原点を語ってくれた。 「小学生の頃から軍艦少年で
コロナ禍で国の役割が増し、ワクチン接種をはじめとするさまざまな施策を進める中で、世界中から注目が集めたのが台湾のシステムでした。それを主導したのが、台湾のデジタル担当大臣であるオードリー・タン氏です。そのタン氏は日本人のために「デジタルとITは別物」と説明したといいます。なぜ、タン氏はこの2つを分けて語ったのでしょうか? 『まだ誰も見たことのない「未来」の話をしよう』より一部抜粋して紹介します。 オードリー・タン 台湾のデジタル担当政務委員(閣僚)、現役プログラマー。1981年4月18日台湾台北市生まれ。15歳で中学校を中退し、スタートアップ企業を設立。19歳の時にはシリコンバレーでソフトウエア会社を起業。2005年、トランスジェンダーであることを公表(現在は「無性別」)。アップルやBenQなどのコンサルタントに就任したのち、2016年10月より、蔡英文政権でデジタル担当の政務委員(無任所
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