「紀の国屋」が2022年5月に廃業しました。東京都武蔵村山市に本店を構えていた和菓子店です。私は京都在住ですがこの店の和菓子が好きで、東京に行くたびに「あわ大福」と「相国最中(しょうこくもなか)」を買って帰っていました。大好きだった和菓子がもう食べられないと思うのは悲しいことです。 この紀の国屋の廃業について、背景に何があったのかを考えてみました。廃業の知らせには理由らしいものが見当たりませんが、筆者にはピンとくるものがありました。私が通った十数年間、この店が値上げしたという記憶がほぼありません。 この店は安価な上に、あまり値上げをしていなかったのです。あわ大福は添加物が入っておらず、賞味期限は1日です。粟(あわ)をついて餅を作り、手作業で餡(あん)を包んでいたのだろうと想像します。餡の風味も豊かでした。要するに原価がかかっていた。それなのに170円で販売していたのを、180円に値上げした