■見出し 1――無制限介入という大胆な挑戦 2――成果の検証 3――副作用の検証 4――おわりに~今後の注目点と円高問題への教訓 ■introduction 2011年9月6日、スイスの中央銀行であるスイス国立銀行(以下、「SNB」)は、為替市場への“無制限介入”を発表した。内容としては、スイスフラン(以下「フラン」)の対ユーロ為替について、1ユーロ=1.2スイスフランという上限を設け、フラン売りユーロ買いの無制限介入を通じてこのラインを死守する(これ以上のフラン高は許さない)というものだ(図表1)。 新興国、発展途上国の中には資本規制を引き、常時為替介入を行うことで特定通貨に自国通貨の為替レートをペッグする固定相場制を採用している国も多々存在するが、スイスの場合は、片側かつ上限を設けただけで固定化はしていないという点で、固定相場制とは異なる。 一方、単なる為替介入とも大きく異なる。日本の