中国の不動産不況がなかなか底打ちしない。GDP統計を見ると、不動産業は2022年に前年比5.1%減と落ち込み、2023年(1-9月累計)も同0.9%減と2年連続のマイナス成長となりそうである。そして住宅販売(面積)は直近ピーク(2021年)の6割前後にとどまり、恒大集団(負債総額およそ48兆円)や碧桂園(負債総額およそ27兆円)といった巨大な不動産デベロッパーが相次ぎ経営危機に陥り、これを受けて新規着工は直近ピーク(2019年)の半分以下で低迷している。 こうした中国不動産市場の現状はバブル崩壊に見舞われた1990年代の日本と似ている面がある。第一に住宅が一般庶民の手に届かない水準まで高騰したことである。東京都発行の「東京の土地」によれば、東京都区部の住宅価格は1989年に年間所得の15.8倍と高騰していたが、上海市の住宅価格も中国国家統計局が発表したデータを元に筆者が推計したところ年間所