新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、ウイルスゲノムの変異を繰り返しながら世界中に広がっています。日本国内でも数次に渡る流行を経験し、感染管理や行動自粛、ワクチンなど様々な対策が実施されているものの、2021年7月29日には1日当たりの国内のCOVID-19患者の報告数は過去最高を記録しました。 当所では、このような状況の中で、可能な限り最新の、信頼がおける情報やエビデンスを国内外から収集・分析し、国民の健康、安全を守るために情報提供を行っているところです。ところが昨今、当所からの情報の一部を切り取り、科学的な議論の範囲を逸脱した解釈をしている内容の記事、SNSやメールマガジン投稿などが散見されます。 本所から発出される文章は、多くの研究者が専門家としての責任と理念のもと、時間をかけ、熟考したうえで作成、掲載しています。文章全体を精読し、正確な内容を理解していただいたうえで、リン
※結果をご覧いただく際の注意事項 本報告(2020年10月までのデータ分析)は、すべての死因を含む超過死亡数を提供します。すべての死因を含むため、観察された超過死亡数は新型コロナウイルス感染症を直接の原因とする死亡の総和ではなく、生活習慣の変化等に伴う持病の悪化による死亡といった間接的な影響による死亡も含まれています。これら死因を考慮し、直接と間接を明確にした分析結果は、別途公表いたします。 本報告は、日本国内での新型コロナウイルスの影響に関しての「データに基づく開かれた議論」に貢献することを主眼としています。開かれた議論の担保のため、データおよび解析用のプログラムコードは全て公開されています(補足資料)。超過死亡数は、「過去のデータをもとに統計モデルから予測された死亡数」と「実際に観測された死亡数」の差として計算されています。統計モデルとデータ解析の説明については、これまでのすべての死因
2020年3月現在、COVID-19 のウイルス学的診断には主に遺伝子増幅法によるSARS-CoV-2の遺伝子検出が行われているが、それに加えて血清中のウイルス特異的抗体を検出するイムノクロマト法や酵素抗体法(ELISA)を利用した血清学的診断法が検討されている。一般的な急性ウイルス感染症の場合、血中の抗体は、発症後1週間ほど経過した後に誘導される。そのため血清学的診断では、疾患の急性期および回復期の血中抗体価を測定し、抗体の推移を比較する必要がある。よって、発症後速やかに検査を実施し診断する必要がある急性ウイルス感染症の診断法に血清中の特異抗体検出法を取り入れることは比較的難しい。しかしながら、COVID-19は、多くの症例において感染から発症までの潜伏期間が長いと考えられている。また、発症から1週間程度経過した後に症状が急速に悪化して重症肺炎に至るなど、臨床経過が長い症例も報告されてい
2019-nCoV (新型コロナウイルス)感染を疑う患者の 検体採取・輸送マニュアル 〜2020/04/16 更新版〜 Ø 2020/04/16 更新版について:鼻咽頭ぬぐいに使用する滅菌綿棒について追記。輸送までの保管温度に ついて追記。病原体検査のための検体又は病原体等の運搬に当たりジェラルミンケースによる包装が不要 になったことにあわせ「基本三重梱包の手順と梱包・輸送時の注意事項」を一部変更。 SARS-CoV-2(旧名:2019-nCoV、新型コロナウイルス)の病原体検査を依頼する際には下記の通りにお願いい たします。 【必要な検体】 現行の病原体検査(PCR)では下記の2検体を検査します。下気道にウイルス量が多いことが報告されています ので、なるべく喀痰などの下気道由来検体の採取をお願いします。痰が出ないなど、下気道由来検体の採取が 難しい場合は鼻咽頭ぬぐい液* のみで構いません
2021年09月30日改訂 ヒトに感染するコロナウイルス ヒトに感染するコロナウイルスは、風邪の病原体として人類に広く蔓延している4種類と、動物から感染した重症肺炎ウイルス2種類が知られている。加えて2019年に発生した新型コロナウイルスは、新たに人類に定着しそうな勢いで感染拡大している。これらのコロナウイルスについて、それぞれの特徴を下に記載する(表1)。 1.風邪のコロナウイルス ヒトに日常的に感染する4種類のコロナウイルス(Human Coronavirus:HCoV)は、HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1である。風邪の10~15%(流行期35%)はこれら4種のコロナウイルスを原因とする。冬季に流行のピークが見られ、ほとんどの子供が6歳までに感染を経験する。我々はこれらのウイルスに生涯に渡って何度も感染するが、軽い症状しか引き起こさないため
2月5日から19日までの健康観察の期間について、ご辛抱いただき、誠にお疲れ様でした。皆さまに心より感謝申し上げます。 皆さまにおかれましては、発熱・呼吸器症状等がなく、これまでのウイルス検査で陰性であったことから、新型コロナウイルスに感染しているおそれについての心配はないということで日常生活にお戻りになるわけですが、ご不安を感じておられる方も少なくないと思います。 国立感染症研究所からのお願いとしては、あくまで念のため、今後14日間の間(対象者の下船日の翌日を起算日とする)、対象者の住所地の都道府県等から毎日健康フォローアップが実施されますので、ご協力の程お願い致します。もし体調が通常と異なる等を自覚された場合には、地域の新型コロナウイルスに関する帰国者・接触者相談センターまでご連絡の上でのご相談をお願い出来ればと思います。また、船内で気を付けておられたように、手洗い励行やマスク着用を始め
(2020年2月19日掲載) 英語版はこちら 背景 クルーズ船ダイアモンドプリンセス号(以下クルーズ船)は、2020年1月20日、横浜港を出発し、鹿児島、香港、ベトナム、台湾、および沖縄に立ち寄り、2月3日に横浜港に帰港した。この航行中の1月25日に香港で下船した乗客が、1月19日23日から咳をみとめ、1月30日に発熱し、2月1日に新型コロナウイルス陽性であることが確認された。そのため、日本政府は2月3日横浜港に入港したクルーズ船に対し、その乗員乗客の下船を許可しなかった。2月3日からの2日間、全乗員乗客の健康診断が検疫官により行われ、症状のある人、およびその濃厚接触者から新型コロナウイルスの検査実施のために咽頭ぬぐい液が採取された。2月5日に検査結果よりCOVID-19陽性者が確認されたことから、クルーズ船に対して同日午前7時より14日間の検疫が開始された。この時点でクルーズ船には、乗客
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