ダッシュボードの数字は伸びているのに、現場の手応えはどんどん悪くなる。営業のKPIは達成しているのに顧客は離れていく。コードレビューのコメント数を測り始めたら、本当に直すべき問題が指摘されなくなった。 こういう「指標を導入した結果、本来の目的が遠ざかる」現象には、別々の分野で別々の名前がついている。同じ話に聞こえるが、失敗の所在は違う。観察対象の選び方の偏りなのか、指標と目的の取り違えなのか、指標を目標化した結果なのか、制度全体への波及なのか。 街灯効果 観察の場所選択そのものに偏りが入る現象。鍵を街灯の下で探す酔っ払いの寓話に由来する。鍵を落としたのは街灯の下ではないと自分でも分かっているのに、「ここの方が明るいから」と街灯の下を探し続ける。観察可能性が探索範囲を決めてしまう。寓話自体は社会科学では Abraham Kaplan が1964年に "drunkard's search" と

