日本語で「いれずみ(入墨・刺青)」と呼ばれる習慣は、西洋では広く「タトゥー」と呼ばれている。ではタトゥーとは何語なのか? どこから来たのか? タトゥーの若手研究者がその歴史をひもとく。 タトゥーの歴史家である私は、「タトゥーはどこ発祥だと思うか」とよく人に聞いては楽しんでいる。返ってくる答えは、中国、日本、アフリカか南米のどこか、ポリネシアなどだ。 こうしたやりとりをこの5年してきて興味深いことがある。タトゥーの発祥地がヨーロッパか北米かもと答えた人が、いまのところ誰もいないのだ。 こうした答えにどの地域が含まれており、また抜けているのかということが、じつはタトゥーの歴史について深い真実を物語っている。タトゥーについて私たちが知っていることや考えることは、抑圧と人種差別と植民地主義の影響をもろに受けているのだ。