2009年に話題になった園子温(そのしおん)監督の映画。前から気になっていたが、237分の大作というので、見るのに覚悟が要った。だが、DVDを借りて見始めると、一気に引き込まれてしまい、あれよあれよという間に物語の渦に呑み込まれてしまう、そんな映画だった。実話を基にした話だというのは、映画を見て初めて知った。 この映画がぐいぐい人を引き込むのは、たぶん「人が変わる」ということの驚き(奇跡)を描いているからではないかと思う。人はなかなか変わらないが、何かあることがきっかけで「人が変わってしまう」ということが実際にある。たとえば宗教や恋。宗教によって、人は変わる。*1 恋に落ちると、人は変わる。それが天国への道か、地獄への道かはわからないけれども、とにかく何か(他者との出会い)をきっかけとして、当人にも思いがけない方向へと人は変わってしまう。 この映画では、まず妻を亡くしたカトリック信者のテツ