その男はいつも通り全身真っ赤なファッションで現れた。パンクバンド「GEZAN」のフロントマン、マヒトゥ・ザ・ピーポー。2010年代の日本の音楽シーンで頭角を現し、小説家としても注目を集める多才な表現者だ。 昨秋、エッセー集「ひかりぼっち」を出版。「いつ、どの部分を遺書として切り取ってくれても構わない」と言い切るほど自身の内面と正面から向き合った本書には、彼の社会に対するいらだちや大切な人への思いが心のままにつづられている。 迫り来る絶望に飲み込まれず、怒りを「光」に変えて生きていく。そう誓う彼の目に、今の世の中はどう映っているのか。 ■あわせて読みたい ・Rina Sawayamaのポップスの奥にあるもの ・Daichi Yamamoto 自分を縛る「他者の視線」から抜け出す戦い ・音楽に生きる石若駿 ドラムはコミュニケーションツール ・John Natsuki(Tempalay)は『脱皮