信教の自由を保障するイスラム諸国で、少数派・キリスト教徒の迫害が深刻化している。差別的扱いやテロ攻撃まで発生し、キリスト教徒が国外に大量脱出した事例もある。背景には、パレスチナ紛争やイラク戦争によるイスラム教徒の憤まんの高まりや、他宗教に非寛容な保守主義の拡大などが指摘されている。両宗教の発祥の地・中東の2カ国と、イスラム人口が2億人の世界最大のイスラム国インドネシアの現状を探った。【カイロ和田浩明、ジャカルタ佐藤賢二郎】 ◇相次ぐ店舗襲撃--イラク 「フランス語の修士号を取ったら、イラクを出るわ」。バグダッド大で学ぶキリスト教徒のリンダ・ハイサムさん(28)は言った。 04年になじみの美容院が襲撃され、銃を持った男たちが「イスラム国に不要な退廃の場だ」と閉店を強要。以来、攻撃を恐れてイスラム女性が着用するベールをかぶり、北部クルド人地区で暮らす。 バグダッドで酒店を経営するユーセフ・ジャ