慰安婦問題の解決をうたう日韓合意で設立された「和解・癒やし財団」が韓国側の決定を受け、道半ばで解散する見通しとなった。元慰安婦を支える活動は、どこまでできたのか。(ソウル=武田肇) 韓国政府が財団の解散を進めると発表したのは昨年11月。日本が出した10億円のうち約6億円が残り、目的を果たしたとはいえない。日本外務省は「同意なき解散発表」だと抗議。協力の象徴になるはずの財団が新たな火だねとなった。 文在寅(ムンジェイン)政権が財団解散を急いだのは、一昨年の大統領選で、支持者である元慰安婦支援団体の主張に沿って日韓合意の再交渉を公約に掲げたためだ。政権発足後は対日関係を考慮し「合意は破棄しない」と転じたものの、合意を朴槿恵(パククネ)前政権の失政とする認識は変えず、財団は「政権の方向性と相いれない存在だった」(大統領府関係者)。外相直属チームが日韓合意に否定的な検証結果を発表したことも決定打に