田畑を荒らすなどして駆除されたイノシシなどを丸ごと餌として飼育動物に与える「屠体給餌(とたいきゅうじ)」の取り組みが、国内の動物園で広がっている。飼育されている肉食動物にとって、野生で狩りをする感覚が呼び覚まされ、ストレスの軽減につながる効果が注目される。捕獲動物の廃棄を少しでも減らし、獣害問題について広く考えてもらう狙いもあり、支援団体、ジビエ業者といった幅広い連携が生まれている。(共同通信=永井なずな) ▽ヒグマが生き生きと アイが立ち上がってイノシシに食らいつくと、エリコも負けじとうなり声を上げて手を伸ばした―。 茨城県日立市のかみね動物園は2月、雌のエゾヒグマの食事として、駆除されたイノシシを与えるイベントを企画した。飼育員の山下裕也(やました・ゆうや)さん(29)は、「慣れていないために上手に食べられずに終わることも想定していた。2頭の生き生きした姿には感激した」と話す。 山下さ