2000年3月に鉄道事業法が改正されるまで、鉄道事業には特許が必要だった。現在は許可制となって緩和されているが、それまでは政府の方針などによって認められない場合も多かったらしい。そんな中、鉄道事業の特許がないまま電車を走らせた会社があった。現在の阪神電気鉄道だ。「電車だけど鉄道ではない」という論法で営業を始めていたという。その論法とはどのようなものだったのだろうか。 阪神電鉄の電車は鉄道じゃなかった? 話は明治時代にさかのぼる。1872年に明治政府が新橋 - 横浜間で鉄道が開業し、注目を集めた一方で、「蒸気機関車の煙で作物が育たない」とか「飛脚や宿場が職を失う」など批判的な意見もあったらしい。しかし、鉄道がもたらす恩恵は大きく、次第に全国規模で鉄道を望む声、鉄道事業を志す起業家が生まれた。しかし明治政府は鉄道について、原則的に国有とする方針だった。大規模な施設は政府の統制が必要であり、特に