仕事を終え、会社を出た。 空を見上げるとやや赤みがかった夕焼け空で、そこにあった雲は左から右に流れるように動いていた。今日は台風が過ぎ去った後で高い高い空はまだ風がごぅごぅ吹いているのであろう。大きなイモムシのような形をした雲も流れるように動いて行った。 私は車に乗り込み、運転席に腰掛けるとメガネケースからメガネ取り出した。しばらく前に買ったメガネもだいぶ私の顔に馴染んだと感じている。手早くシートベルトをしめ、エンジンをかけた。 駐車場から道路にゆっくり出ると、いつもと同じ道を同じように進んで行く。 しばらく車を走らせ、赤い光の見えた1つ目の信号で車を停止した。横断歩道を青い作業着を着て少しくたびれた顔の男性がせかせかと渡って行った。 左手にあったコンビニの前で女の子が2人、それぞれの自転車に跨って楽しそうに話をしていた。その手には中華まんがキュッと握られていた。「ああ、中華まんの美味しい
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