増田文学に関するnemunetaのブックマーク (9)

  • 十五回目の夏

    病になってから十五回目の夏が過ぎようとしている。 あれ以来、空の色は深みを増して美しく映るようになった気がしている。 たるみきった暑さの中に忍び込む蝉の声が、ひどく懐かしく、視界は白っぽく煙っている。その光景が好きだ。汗をかきながら、日向を走っていく子どもの姿を追いかけて、静寂に沈む夏の町を歩いていくのが好きだ。 でもなんでこんなに苦しいんだろう。プールで潜水しながら空を見上げているみたいに、ただ静かでそして苦しい。 死にたい。死にたくてたまらない。そういいながら十五年を過ごしてきた。 身長は少しだけ伸びて、すっかり夏休みとは無縁になったのに、十五年前のままプールの底に沈んでいる気がする。 死ぬのが怖くなかったらいいのに。こんなに死にたいのに、どうして怖いんだろう。

    十五回目の夏
  • 職場に好きな男の子がいる

    去年の6月、とつぜんそいつはやって来た。 プロジェクトに人が足りなくて、上長が別のプロジェクトから連れて来た。 はじめは普通のエンジニアの男の子だと思って、普通に仕様の説明をしたり、 からかったりしていた。 そいつはよく遅刻をし、大事なプレゼンの朝来なかったりした。 その度に自分がLINEを打ったり電話で呼び出したりしていた。 手のかかるどうしようもないやつだと思ってた。 だが仕事は速かった。 スキルも高かった。 だから余裕ぶっこいてたんじゃないかと思う。 プロジェクトが佳境に入って、よく2人で深夜まで残業したりした。 ある夜、そいつがカレーを買いに行くって言うから、 私の分もついでに買って来てくれるように頼んだ。 そいつの買って来てくれたカレーべながら、とつぜん、 そいつのことが好きだと気が付いた。 それから当に大変だった。 何が大変かって、プロジェクトは佳境、 毎日大量のバグが見

    職場に好きな男の子がいる
  • タバコ吸おうと思ってベランダ出たら、目の前の電柱にオウムが留まってた..

    タバコ吸おうと思ってベランダ出たら、目の前の電柱にオウムが留まってた。どっかから脱走してきたのかなあ、と思ってたら更に4羽のオウムが来て談笑し始めた。どういう状況なのかあ、と思ってたらカラスが1羽飛んできて、オウム達にちょっかい出し始めた。ムカついたオウム達がカラスを取り囲んだら、バッとカラスが逃げ出して、近くの木に突っ込んで行った。その木に雀の集団がいたらしく、雀達の断末魔の叫びが聞こえてきて、笑いが止まらなくなる年の瀬のお昼。

    タバコ吸おうと思ってベランダ出たら、目の前の電柱にオウムが留まってた..
  • 愛人宅にて。

    体が鉛のように重い。 今この文章を、愛人さんのベッドで書いている。 彼女が出勤した後の部屋に、僕は残っている。 テレビでは根君が明るい声で今日の天気を伝えている。 僕は窓の外の洗濯物をぼーっと見ている。 昨日は彼女を同伴してパーティーに行った。 青山の裏道の一軒家を改装したレストランで行われたパーティーには、30人程の男女が集まっていた。 ホストが暖かく僕達を迎え入れてくれる。 彼女はとても明るく、気の利く女だ。 初対面の僕の取引先に対してもとても自然に接することができる。 決して前に出過ぎることはなく、相手を讃え、酒の世話をし、パーティーの華をこなす。 たくさんの男が彼女を口説こうと言い寄ってくる。 それを彼女は柔らかい笑顔で躱す。 時折僕に目配せをしながら、付かず離れずの距離を保つ。 ちゃんと自分の役割を理解しているんだ。 そんな利発な彼女を愛人にできて僕はとても幸せだ。 パーティー

    愛人宅にて。
  • 消えていくセーターの残り香が昨日の思い出。

    消えていくセーターの残り香が昨日の思い出。

    消えていくセーターの残り香が昨日の思い出。
  •  このあいだねせんぱいと持ちよりパーティをしたんですうちで。せんぱい..

    このあいだねせんぱいと持ちよりパーティをしたんですうちで。せんぱいがごはんであたしがデザート担当。せんぱいはあたしのすきなものたくさんつくってきてくれて、あたしはあまいフォンダンショコラをつくった。せんぱいはあまいものあんまりたべられないけど、自分がたべたかったからそれにしたんです。結局あたしはせんぱいのおいしいごはんを七割くらいたべて、デザートもほとんどたべたかな。せんぱいは三口くらいたべてたかな。あたしがおいしい思いをしておわったんだけど、せんぱいはとくになにもいわないしにこにこしてました。なんかあたしがひとりでおいしかっただけですよねごめんなさいねらってました、ってお茶のんでるとき白状したら、そうなんだろうなと思ったけど別によかったっていうですあのひと。そういうひとなんです。 ひといきにそこまでを耳ざわりに奥ゆかしい古都のなまりではなして、さめた珈琲をすすりながら小動物のようなおんな

     このあいだねせんぱいと持ちよりパーティをしたんですうちで。せんぱい..
    nemuneta
    nemuneta 2014/11/17
    いとほし
  • 陰毛との一夜

    高校の修学旅行の夜、シティホテルに友人と宿泊したのだが、 その友人は陰毛のような髪をした底抜けに陽気な男で、 おい君、君はどんくらい腋毛が生えているか、としきりに尋ねてくる。 尋ねてくる分には可愛げがあるが、なあ少し腋をあげて見せてくれ、としきりに強請ってくる。 もう寝ようと提案するが、駄目だ見るまでは寝ないと駄々をこねる。これには閉口した。 僕がいやだよ、腋毛なんて他人に見せるもんか、と云うと、 じゃあ無理にでも見てやろうと、がっぷり四つに組み敷いてくる。 この陰毛男は、ひょろっとした体つきのくせして存外握力が強く、嫌がる僕の腕を 強引に持ち上げ、腋をじろじろ凝視してくる。 ふうん、なかなか毛深いね、とばかにしたように云うから、かっとして、 じゃあ君のも見せてみろと云ったら、やっこさん、喜んで万歳の姿勢をとる。 その腋毛が髪質とおなじ縮れた陰毛状だったから、 思わず、なんだ腋の下までチン

    陰毛との一夜
  • 精子がしゃべった

    私が彼氏に求めるのは背の高さと面白さと爽やかさかなー などとニコニコしながら会話するJK三人組のとなりで、そのどれにも当てはまらない俺は信号を待っていた。 ようやく秋になったばかりなのに、きょうは暑苦しいくらいの陽気なので、オフィスの皆は不満を漏らしていたが、俺は内心わくわくしていた。 そして今、ランチタイムで賑わう街中へ繰り出してみると、期待どおりに、いつもよりは薄着の女性が華やいでいる。 透けブラ全開のJK三人組はもちろんのこと、その横で髪を撫でつける仕草が色っぽい20代後半の女性の背中も、一見するとキャミしか見えないもののよーく観察すればあの妙なる線が浮き上がってくる。横断歩道の向こう側で同じく信号を待つ女性たちの透けブラは見えるはずがないけれども、ピンク色のリュックサックを背負った女子大生の上半身を膨らませる丸い二つのものの大きさや、その後方で日焼け止めを塗っている30代後半の熟し

    精子がしゃべった
  • 定期通過駅で降りて次の駅までうろうろ歩く趣味の2人が出会うために

    彼女が欲しいから、結婚したいからコツを教えてとか言われたのでhttp://anond.hatelabo.jp/20140708154652 友人にネタにされてしまった変な趣味の持ち主です。 フェイスブックやTwitterユーザーたちに「これ、お前のことじゃね?」と次々と連絡が来て、 全体的にボカしてあるけれど、どう読んでも自分のことだったので、友人を問い詰め、発覚。まあいいんですけれど。 たくさんのコメントや、RTやいいね!を見ていると「イイハナシだ」とか「うらやまけしからん」とか まあ好意的な内容が多かったので、ホッとしています。 中でも「結局、どうやって出会ったかが不明。そこ一番大事」との指摘もあったので、 それほど大した話じゃなかったので書いておくことにします。自分のブログとか恋人との出会いを書くのも恥ずかしいので、 どうせならと初めて匿名ダイアリーを使ってみます。それでも知人友人

    定期通過駅で降りて次の駅までうろうろ歩く趣味の2人が出会うために
    nemuneta
    nemuneta 2014/07/18
    ここからどう二度目の再会に結びつけられたのかが知りたい
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