文学者であり翻訳家の父と、児童文学者の母。黒川紀章がデザインした鎌倉の家から小中と清泉女学院に通い、途中で2年ほど父のサバティカルに帯同して英国ロンドンの私立女子校にも通ったが、ルーズソックスを禁止されない「10代を謳歌する確固たる自己イメージ」のために明治学院高校へ。 「周囲の影響もあり」渋谷、ルーズソックス、ブルセラ、援助交際にクラブ通いと、絵に描いたようなコギャルブームを真正面から浴びた作家・鈴木涼美。彼女の知的好奇心と魂のありようを象徴するかのような、ある意味一本の軸となる考えがある。(全2回の2回目/1回目を読む) ◆◆◆ 「先生や母親たちはどうやって夜の世界を否定しているんだろう?」 「否定できないならやっちゃうけどいいの」 鈴木は、彼女らしい甘いトーンに包みながら、これまでの人類が社会的良識と仮置きしてきた倫理秩序を大胆に脅した。 「年齢を重ねて、『なんとなく良くない』という
![知人は“バケツ一杯の本物の精液”を……「愚かな女の人たちの側にいたい」芥川賞候補作家・鈴木涼美(39)が「規範の不在」を描く新作小説『グレイスレス』 | 文春オンライン](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/095e02e4e869da37801f1568ae0436ddecd1a262/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fbunshun.jp%2Fmwimgs%2F9%2F8%2F1200wm%2Fimg_98a80461e7bccaba8800296f8464e6fb537752.jpg)