ゴトウユキコ『夫のちんぽが入らない』①(原作:こだま)と、同作家の初短編集である『36度』が同時刊行されました(いずれも講談社より)。どちらも、楽しみにしていた単行本でした。感想を書こうと思います。 世の中には、読めば/観ればたちどころにスカッと笑える作品や、素直に感動して涙を流すことのできる作品が数多くあります。他方で、鑑賞後に何とも言えない気持ちが残り、すぐには感想を言葉にできないタイプの作品というのもあります。 ゴトウ作品はまさしく後者で、すぐに笑えたり、すぐに泣けたりする作品とは違うタイプの作品だと思っています。(そこに「優劣」を見出だすつもりは毛頭なく、単純に作品のタイプの「差異」の話として。) 読んでいるときは、ただただ胸を衝かれます。苦しくなります。頭から離れなくなる。似たような痛みや苦しみに襲われた時に、不意に作品のことを思い出したりしてしまいます。そして日々の暮らしの中の