【ドバイ】サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子は昨年、原油高ブームに便乗し、同国最大の銀行サウジ・ナショナル・バンク(SNB)に対してスイスの金融大手クレディ・スイス・グループに15億ドル(約1970億円)投資するよう指示した。だが、皇太子の財務顧問はこの投資について懐疑的だった。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。 今回、クレディ・スイスと同業UBSグループとの緊急合併により、SNBの投資はほぼ全損となった格好だ。カタールの政府系ファンドとサウジの富豪オラヤン一族によるクレディ・スイスへの数十億ドルの投資も吹き飛んだ。先週の米銀2行の破綻以来、ペルシャ湾岸諸国は金融株の急落で大きな痛手を被っている。 サウジにとってクレディ・スイスへの投資は、同国が世界の銀行セクターに華々しく参入し、オイルマネーの後ろ盾を得た投資大国の地位を確立することが目的だった。SNBが投資を決めた当