ブックマーク / note.com/solar1964 (4)

  • 政治と文学と橋本治| 仲俣暁生

    『橋治「再読」ノート』をにしてよかったのは、自分がやってきた仕事(編集、文芸批評、教育)が一つの形になったことだけれど、それだけでなく、文学や絵画について考えるのは、最終的には自分たちの社会のあり方、つまり「政治」を考えることなんだと、橋治はずっと言い続けてきたのを確認できたことにある。 私は選挙が家業でもあるような特殊な家に育ったので、自分の家族ができてからも、選挙のあるたびに呆れられるくらい熱中してしまう。支持する候補が当選するか否かより(ほとんど当選しない。あるいは、そもそもいない)、なぜ日人の多数派はいまこの選択をしたのか、というメタレベルに興味をもってしまう。 いままででいちばん不思議だったのは、2009年に鳩山民主党が地滑り的に勝利を収めたことで、あれはまだ、たったの15年前のことなのだ。あの頃に生まれた子供にはまだ選挙権はなく、60だった人もまだ75でだいたい生きてる

    政治と文学と橋本治| 仲俣暁生
    nessko
    nessko 2024/06/24
  • 橋本治の孤独| 仲俣暁生

    の営業をしつつ、幾人かの書店の知人たちと話して気づいたのは、いま中堅以上の世代の人たちにとってさえ、既に橋治はよくわからない存在(おそらく仕事が多方面すぎることと、1990年代半ば以前のイメージを共有をしていないことによる)になっているという事実だった。 橋治はあるときから「現在」にいることをやめ、時評的な文章も減らして、まずは古典古代、さらには近代の謎の究明に向かい、そして最後まで独特の小説家であり続けた。それを私は橋治が自身で選びとった孤独だと考えている。 『孤独の発明』のオースターが亡くなり、ガルシア=マルケスの『百年の孤独』が文庫になるこのタイミングで、「孤独」(橋治にとってそれは近代が招来する必然的な運命だった)とは何かということを、もう少し突き詰めて考えたい。 読書とは、孤独の中でしか行えない行為であると同時に、それを通して孤独を突き抜ける行為でもある。橋治の思考し

    橋本治の孤独| 仲俣暁生
    nessko
    nessko 2024/05/06
    >橋本治の思考してきた過程を若い世代に届けたい、と私が考えるその「若い世代」とは、10代や20代ではなくて、いま30-40代の人たちである。
  • テラヤマシュージ・ツールキット| 仲俣暁生

    唐十郎さんが奇しくも寺山修司と同じ日に亡くなったのを受けて、21年前に『別冊文藝 寺山修司』に書き、絶版になってる私の3冊目の文芸評論集『「鍵のかかった部屋」をいかに解体するか』に収めた寺山修司論を、久しぶりに公開します。 1983年に47歳で寺山修司が亡くなったとき、19歳だった私は、寺山のをまだ一冊も読んでいない。寺山修司が入院していた河北病院は私の父方の実家のある東京の阿佐ヶ谷にあったから、彼の死を知って連想したのは駅からも見えるあの病院の大きなカンバンだった。寺山が亡くなってその享年を知ったとき、もっと年寄りだと思っていた彼が意外と若いことに驚いた。 一冊もを読んでいなくても、寺山修司が「書を捨てよ、町へ出よう」というを書いた人だということは知っていた。でも1960年代生まれの私たちはとっくに「書を捨てた」世代だった。 高校生時代の私はごく一時期『ビックリハウス』という投稿雑

    テラヤマシュージ・ツールキット| 仲俣暁生
    nessko
    nessko 2024/05/05
  • 1983年の廃墟とワンダーランド――橋本治という未完の「小説家」について| 仲俣暁生

    治という「小説家」について語るのはむずかしい。現代を遠く離れた時代を舞台にした『窯変源氏物語』『双調平家物語』という二つの大河作品を完成させた後、近年に文芸誌に相次いで掲載された『巡礼』『橋』『リア家の人々』などの作品にみられる橋治と、『桃尻娘』シリーズをはじめとする、1980年までの「現代小説」の橋治とが、多くの人の中でうまく重ならないからだ。 「小説家」としての橋治の不思議は、「近代文学」を明確に否定しつつも、頑としてポストモダニズムには流れない、という一点にある。ここでいうポストモダニズムとは、具体的には『群像』から1970年代後半~80年代はじめにかけてデビューした、村上龍、村上春樹、高橋源一郎の三人にみられる傾向を指す。ここに92年に46歳の若さで没した中上健次を加えれば、1980年代前半における戦後生まれの重要な「現代小説」の男性作家を網羅できたことになる。 彼らとほ

    1983年の廃墟とワンダーランド――橋本治という未完の「小説家」について| 仲俣暁生
    nessko
    nessko 2023/05/25
  • 1