「いずれもこの年齢の少女たちによく見られる症例ですね」 ある冊子に記載された患者たちの症状や経過だけを見た場合、どういう考えを持つかという質問に対し、複数の小児科医・神経内科医・精神科医から寄せられた回答である。ひとつひとつの症例についてコメントや解説をつけてくれた医師もいた。 この冊子は全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会・薬害対策弁護士連絡会・薬害オンブズパースン会議の3団体が昨年5月末に出版した「子宮頸がんワクチン副反応被害報告集」。弁護士が“被害者”本人およびその保護者に聴取した内容を記したものだ。 今年に入ってから“被害者”に関するいくつかの書籍も出版されている。“被害者”の少女たちの症状は実に多彩だが、特に神経疾患を思わせる症状についての記述はどれも強烈だ。繰り返し起きる手足や全身のけいれん、「自分の意志とは無関係に起きる」という不随意運動、歩けない、階段が登れない、時計が読めな
投資事業に携わった方であれば、内部収益率という言葉をご存知だと思う。あまり聞きなれない言葉だが、Internal Rate of Return (IRR)を日本語にしたものだ。私が初めてこの言葉を聞いたのは、80年代だった。当時米国の資源開発を米国企業との合弁事業として進めていたが、その合弁契約交渉で米国企業が投資の判断に利用していたのがIRRだった。 日本企業は、投資に際し「資金繰り」とか「投資額に対して利益額がいくらあるか」という考えで投資の判断を行っていたが、米国企業は、「手元に残る資金‐キャッシュフローを元に」「時間の価値も考慮して」計算を行っていた。それがIRRだった。その後日本企業でもIRRの利用が広まってきた。 IRRでは前提となる売上、コストなどの数字の変動が結果にどう影響を与えるか知るために感度分析と呼ばれる手法が利用される。前提の数字を入れ替えれば結果となるIRRの数字
2011年、当時の菅首相が「自然エネルギーを国として全力を挙げて支援していく上で、大きな役割を期待したい」1と強く主張、第177国会において、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」は成立した。再生可能エネルギー全量固定価格買取制度がスタートして2年余りが経過し、認定済みの再エネ設備6900万kWが全て運転開始した時の賦課金が年間約1.9兆円、買取期間全体を考えれば約38兆円にもなるとの指摘がなされる2など、国民負担の大きさなどが徐々に話題となってきている。電力問題について精力的な発言を続ける自民党の河野太郎議員は、このテーマについても様々な発信を行っておられるが、どうもその論旨がすっきりしない。 この制度については経済産業省が既に見直しを行い、おおむね議員の主張した方向となっている。その意味で、この問題は決着済みとも言えるが、議論の過程で後味の悪い混乱があったの
ドイツ政府とEU委員会は、相次いで再生可能エネルギーからの電気を固定価格で買い取る再エネ法を見直すことを決めた。詳細は「ドイツがプーチンより恐れる電気料金上昇 再エネ政策見直しに舵を切るEU」で述べた通りだが、米国の多くの州でも再エネ法見直しの動きが出ている。 11月の中間選挙を控え、再エネ法が共和党と民主党の争点に浮上する州も出てきた。そんななかで、世界で最も賢明な投資家の一人として知られるウォーレン・バフェットがテキサス州の電力事業関連で900億円の損出を出してしまった。社債を購入した電力会社が、再エネ導入とシェール革命の影響で破綻したためだが、バフェットの大損の背景をみると、将来の日本の電力市場を検討する際に考慮すべき大きな教訓が浮かび上がる。再エネの導入が電力会社の破綻を招き、その結果、自由化市場では誰も発電設備を建設しなくなり、やがて停電が発生するという話だ。 米国29州が導入し
8月23日付け朝日新聞朝刊に「避けられぬ発送電分離」「原発には死ぬまで反対」とのタイトルで孫正義氏(以下敬称を省略)のインタビュー記事が掲載されていた。「原発に代わる発電手段として再生可能エネルギーを増やさなければいけない。政府の成長戦略に位置づけられるべきだ」と主張し、「欧州には各国をまたぐ送電網がある。なぜアジアでできないのか」とアジアスーパーグリッド構想を説明している。さらに、「北海道の再エネを東京に送るにも(送電線は電力会社が保有しているため)道がない。発送電分離は避けられない」としている。 孫はどんな「リスク」を取ったのか? その後、朝日新聞は「孫正義の3.11」として9月11日から4回の連載を行い、インタビュー内容をより詳しく伝えたが、要は、脱原発は再エネで可能。再エネの普及には日本とアジア各国を結ぶ送電網と国内の発送電分離が必要との主張だ。発電が不安定な再エネでは安定的に発電
世界で巻き起こる日本食ブームに伴って高級日本酒の出荷が国内外で伸びている。だが、原料米である山田錦が足りず、酒造メーカーは造りたくても造れない状況に陥っている。生産数量目標のもと、原料米の生産も制限されているのがその元凶だ……。 NYで最も売れている「獺祭」社長の苦悩 出荷量の減少に悩む日本酒(清酒)業界のなかで、毎年出荷量を増やすという異次元の動きを見せる旭酒造(山口県岩国市)。今期(2013年9月期)の売上高は40億円に達する見通しで、ここ数年5割増で売上を伸ばし続けている。 同社が製造する日本酒「獺祭」は、純米酒のなかでも原料に使うコメを50%以下に精米する「純米大吟醸酒」という最高級ランクに分類される。1990年に発売以降、桜井博志社長が、自ら酒販店や飲食店に営業回りをして、徐々に知名度を上げていった。 足で稼いだ結果、今や単一ブランドとしての出荷量は全国一の規模にまでなった。国内
先進国で漁業は成長産業 日本の漁業は衰退の一途を辿っている。日本の漁業従事者は、ピーク時の100万人が、現在は20万人を割りこみ、さらに減少を続けている。平均年齢は60歳を超えた。漁村の限界集落化が進んでいる。日本の漁業は、縮小再生産どころか、消滅しかねない状況である。 漁業従事者の高齢化は、ここ数年間に始まったことではない。何十年も新規加入が途絶えた状況を放置してきた結果である。日本の漁業はすでに産業として成り立っておらず、一般の企業だったら、とっくに倒産している状態を補助金で維持している。漁業者の平均所得は、200万円程度。年金の足しにはなるが、これから家庭を持つ若者が、夢を持って参入できる環境ではない。「仕事がきつい。収入は悪い。そんな漁業には、いくら息子といえども、入ってこないのは当然です」と、年配漁業者は肩を落とす。 漁業の存続には、漁業収入の改善が急務である。中長期的に安定した
外径15ミリのスチールパイプを曲げ加工したシンプルなデザインが眼を惹く。パイプの先端に近いところに、色の再現性で最高ランクの性能をもつ薄型LED(発光ダイオード)が2個装着されている。3万9900円と高価だが、2011年12月の発売から3カ月で初期ロットを完売するという好調な出足となった。 接触センサー方式のスイッチが、パイプの上部先端に装着されており、明るさは2段階に切り替えられる。内蔵する電子回路にはマイコンも搭載され、点灯する際はふんわりと徐々に明るくなるよう制御している。 光源の直下だけでなく広がりをもたせた光は、より自然光に近く、それぞれの対象物本来の色を忠実に再現できるという。そうした色の再現性は、国際基準である「平均演色評価数」(Ra)という指標で示される。「ストローク」の光は、Raが90以上の最高ランクに入っており、美術館やデザインなどの現場で使われる照明と同等の性能だ。
将来の原発比率を決める「エネルギー・環境に関する選択肢」についての議論が続いている。各地で開催された意見聴取会では、2030年に原発ゼロの選択肢を支持する参加者の比率が68%だったと報道されている。一方、経済団体、業界団体の意見書では原発比率低下による経済への影響を懸念する声が多く聞かれる。 「国破れて太陽光パネルあり」? 選択肢の3つのシナリオでは、いずれもエネルギー消費を削減しながら経済成長を実現する姿が描かれているが、そのような世界が実現可能か、あるいは実現するためにどんな道筋があるのかは全く不明だ。どのシナリオもエネルギー環境会議が想定した姿に過ぎない。また、再生可能エネルギー(再エネ)導入に伴う費用も前提条件として示されているが、その内容は不明だ。 エネルギー環境会議が示した前提条件に基づきモデル計算を行った機関の一つである(公財)地球環境産業技術研究機構(RITE)のホームペー
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