このトピックで書くのは約1年ぶりとなるが,ある論文が非常に興味深かったので紹介する。 www.soumu.go.jp こちらに掲載された若江雅子,森亮二,吉井英樹「オンライン広告におけるトラッキングの現状とその法的考察―ビッグデータ時代のプライバシー問題にどう対応すべきか」は,ネットで公開されている。↓ http://www.soumu.go.jp/main_content/000599872.pdf クッキーの仕組みや,アドネットワーク,DMPなどの基本的なところはわかっている人はすべて飛ばしてよい。 昨年,個人情報保護委員会がFacebookに対して行った行政指導に関する解説も興味深いが,ここでは,16頁以下の「6.提供先で個人情報性を獲得する提供行為の評価」という論点を取り上げる。 これは,ウェブサイトの運営者等が収集したデータが,当該事業者の下では「非個人データ」であっても,その提
VP9とAV1の話、ここ10年くらいは独禁法で特許権を制限できると信じられていたのでH.264とかも生まれたけれど、世界的に潮目が変わってやっぱり特許優先すべきじゃね?ってなってきて、先日そういう判決もでたので… https://t.co/npYONwairr
■ 裁判官のツイッターが処分対象に。 東京高裁の裁判官である岡口基一さんが、ツイッター投稿を理由に、勤務先である東京高等裁判所から、最高裁に懲戒処分を申し立てられています。9月11日、処分を裁く分限裁判が最高裁で行われたので、様々報道がなされています。 ツイッターで裁判の当事者の感情を傷つけたとして東京高裁が懲戒を申し立てた同高裁の岡口基一裁判官(52)について、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は11日、「分限裁判」を開いた。非公開だったが、岡口氏側は「懲戒権を発動すれば『表現の自由』を侵害し、裁判官の独立をも脅かす」などと反論したという。ツイッターをめぐり、裁判官が分限裁判にかけられるのは初めてだ。 出典:朝日新聞ウェブ版 裁判官の懲戒の手続は、裁判官分限法という手続で行われるのですが、非公開の裁判となっています。 しかも、東京高裁に努めている裁判官の懲戒はさらに上のランクの裁判官に
「愛知・三河のソウルフード『キリンラーメン』、大人の事情で名称変更を発表 新名称は一般公募に」というニュースがありました。 愛知県西三河地方のご当地ラーメン「キリンラーメン」が「大人の事情」により名称を変更することが分かりました。発売元の小笠原製粉が新名称を一般公募しています。 というお話しです。大人の事情については、容易に想像が付くように、飲料大手「キリン」との商標権の問題であると思われます。キリンは飲料専業かと思われがちですが、たとえば、穀物加工品等を指定商品とした商標登録4180368号等を所有しています。 そして、この商標登録には、キリンラーメン製造元の小笠原製粉が2014年7月24日に不使用取消審判を請求していることがわかりました(取消2014-300549)。この商標権が名称変更の理由であることは確実でしょう。 不使用取消審判は3年以上使用していない商標を(指定商品単位で)取り
知的財産権を取り扱う業務にかかわる人であれば、一度は「ライセンス契約」を目にしたことがあると思います。 このライセンス契約は、簡単に言えば、知的財産権を保有する側が、その権利を利用したい側に対して、「知的財産権の利用を許諾する」という契約です。 これを法律用語を用いて表現すると、特許権の場合は「実施権の許諾」、商標権の場合は「使用権の許諾」となります。 このように、ライセンス契約は契約の中で「許諾する」という表現が用いられるため、権利者が何か積極的な行為をするように思われがちです。しかし、その実態は、「契約に定められた内容を守ることを条件として、自身の知的財産権を行使しない」という、消極的なものと理解するのが正確でしょう。 つまり、「ライセンス=権利不行使の約束」ということです。 しかし、実務上、「ライセンス契約」と「権利不行使の合意」は意識的に区別して用いられていることが多いように思われ
契約書を作成すると押される印鑑。ところで、あなたは契約相手の印鑑(印影)がホンモノか調べたことはありますか? 今回は、この印鑑照合の義務について述べた判例を調べてみました。 印鑑照合の方法や義務は意外に知られていない 印鑑を紙の契約書に押すことで契約する、それが現在の日本の商慣習です。契約書が作成されると、記名押印欄に赤い朱肉で押印をし、お互いにその意思が真正なものであることを相手に対して示します。 さて、このような用途で使われる印鑑は、契約当事者本人が押印しさえすれば、真正な文書を成立させるための印とすることができます(民事訴訟法第228条4項)。実態としても、製本され黒い文字が整然と並んだ契約書に赤い印が鮮明に押されると、その印影がよほど信用ならないデザインでもない限り、ホンモノだろうと信頼しているはずです。 それでも、もしその印鑑がニセモノだったら大変、ということで、特にトラブル経験
政府がISPに海賊版サイトの遮断を要請と報道4月6日付の毎日新聞の報道によると、政府は国内に拠点を置くインターネット接続業者に対し、ネット上で漫画や雑誌を無料で読めるようにしている海賊版サイトへの接続を遮断する措置を実施するよう要請する調整に入った。 ISPによるサイトへの接続遮断はブロッキングと呼ばれ、通信の秘密との関係で重大な問題をはらんでいるが、日本ではブロッキングの許容性を慎重に検討した上、ISPは児童ポルノに絞っては「緊急避難」に当たると判断し、2011年から事業者による自主的な取り組みとして実施されてきた。 今回の要請に法的根拠、法的効果はなく、事業者が要請を受け入れた場合には、司法の場で電気通信事業法第四条の定める通信の秘密に抵触すると判断される可能性があり、その場合のリスクはISP自身が負わねばならない。 記事によると政府は海賊版サイトの遮断が「緊急避難」に当たると整理した
政府が4月13日に決定した「インターネット上の海賊版サイトに対する緊急対策」(案)は、サイトブロッキングをISPに要請することはなかったが、名指しした3サイトに限って緊急避難としてサイトブロッキングを行うことが適当とした。しかしながら古くから確立している緊急避難について、政府が見解を出したからといって裁判所が採用する必要がないとの指摘もあり、引き続きISPは難しい判断を迫られることになる。 間違っていた海外から配信という前提座長の中村伊知哉氏の投稿によると、ブロッキングに踏み切った背景として、民間もDMCAテイクダウンなどの措置を取っても有効ではなく、手詰まりだったという。 そして昨今の事態の悪化に関して、サーバが置かれているとみられる外国の政府等に官民で交渉してもラチがあかず、民間もDMCAテイクダウンなどの措置を取っても有効ではなく手詰まりな状況でした。これが国内サーバであれば、ブロッ
しかも、取得主体が個人情報保護委員会であるなら、.go.jp(政府ドメイン名)に置かないと、「政府機関の情報セキュリティ対策のための統一基準」の遵守事項(6.3.2(1))違反だよ。何回言ったらわかるの? たかがドメイン名(笑)とバカにしてるんだろうが、政府ドメイン名の使用については、どういう風の吹き回しか知らない*3が、国会でも質問主意書が出る(「政府ドメインの統一に関する質問主意書」2018年1月25日提出, 衆議院質問答弁経過情報)くらい国会議員に注目されてる*4んだぞ。「閲覧者が偽サイトを政府の真正サイトと誤信し個人情報をだまし取られる「フィッシング詐欺」などの被害について早急な対応が必要と考えるが」とか言われてるんだぞ。 国会で吊し上げられることになってももう知らんぞ。 大事な原稿も落としたことだしもうぶっちゃけて言っちゃえば、事務局長に嫌われると「あいつらの話を聞くな」とか言わ
SOFTICが主催するセミナー「IoT時代におけるOSSの利用と法的諸問題及び留意点」に出席した。 http://www.softic.or.jp/seminar/180228/index.htm ソフトウェア関連の法務を取り扱っていると,OSS問題は頻出である。しかし,少なくとも日本では裁判例などもないため,法的問題については答えがない課題が多いうえに,法務の立場からは「動的リンク」「ライブラリ」などと言われても,具体的にどういう状態なのかわからず,避けたくなる分野だといえるだろう。 OSSのさまざまな論点は,ずっと前から存在していたが,このセミナーの表題には「IoT時代における」とついていたことから,IoTになると何か固有の新しい問題が起きるのかな?と思って参加することにした。 しかし,内容的には,従来から挙げられていた論点の整理が中心で「IoT時代」固有のトピックについては特になかっ
これまで、企業から被害を受けた人が訴訟を起こしても、時間がかかるだけでメリットがなかった。しかし、誰でも簡単に訴訟が起こせるAIの弁護士の登場で、企業と戦って損害を取り戻せる可能性が増えるだろう。 by Erin Winick2017.11.13 125 49 10 0 ジョシュア・ブラウダーは以前に、いわゆるAI弁護士として働くチャットボットを開発した。このボットは、駐車違反で切られた切符に異議を唱えることを助けてくれた。これがうまく機能しとても好評だったので、ブラウダーはプログラムを拡張して信用調査会社エキファックス(Equifax)の情報漏洩で被害を受けた人の少額裁判を支援できるようにした。現在、ブラウダーの会社ドゥノットペイ(DoNotPay)はもっと上を目指している。今年末までに、ブラウダーはこのプラットフォームを使って誰でもが訴訟を起こせる機能を追加しようと計画している。 20
痴漢を疑われた人が逃走し、ビルから転落して死亡したという事故が起きてしまった。 www3.nhk.or.jp 痴漢を疑われた場合にどのような対応をすればよいかについては、弁護士の間でも意見が分かれていた。この機会に私の意見を述べておこう。 まず、駅事務室などに同行を求められても絶対に行ってはいけない。 あなたが痴漢の疑いをかけられた。駅事務室に同行を求められそれに応じた。任意で同行しただけであり身柄拘束などされていなかった。としよう。 でも後に警察に引き渡されたら、「まず私人*1が現行犯逮捕し、被疑者を警察に引き渡した」ことにされ、適法な逮捕の体裁を整えられてしまう。*2 だから行ってはいけない。 ではどうすべきか。 自らの身分を告げる等して平穏に立ち去ることができればベスト。 この点は弁護士間にもおそらく異論がないだろう。*3 しかし、実際には、被害申告者や駅員の側も平穏に立ち去らせてく
2016年2月9日著作権侵害対策 自分の写真やイラストがネット上で無断使用されているのを見つけたら、まずは抗議のメールを送る。次に内容証明郵便を送る。前回はそこまで書いたので、今回はその続き。メールと郵便を送っても解決しなかったら仕方がない。著作権侵害で裁判所に提訴しよう。提訴の条件はこれだけだ。 当該作品は、あなたが撮影・作画したもので、著作権を有する 無断掲載した相手は国内の個人または法人(会社)である 著作権侵害を知った日から3年以内である 上記の3つが当てはまれば話が早い。まず勝訴だ。 少額訴訟なら裁判は1回で済む 著作権侵害の裁判は地方裁判所で起こせる。 ここでフォトグラファーやイラストレイターさんには耳よりな話がある。請求金額が60万円以下なら、簡易裁判所で少額訴訟をする方法があるのだ。 少額訴訟とは、原則として1回・約1時間程度の審理で、その場で判決を言い渡す裁判のこと。
On May 18th, 2012, attorneys for Oracle and Google were battling over nine lines of code in a hearing before Judge William H. Alsup of the northern district of California. The first jury trial in Oracle v. Google, the fight over whether Google had hijacked code from Oracle for its Android system, was wrapping up. The argument centered on a function called rangeCheck. Of all the lines of code that
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