ミッツ・マングローブ この記事の写真をすべて見る ドラァグクイーンとしてデビューし、テレビなどで活躍中のミッツ・マングローブさんの連載「今週のお務め」。37回目のテーマは「ピーコさんの記憶」について。 * * * 最近の海外ドラマなどを観ていると、「ゲイ」も「バイ」も「トランス」も、私の知らない間にすっかり日常的な存在になりつつあることを痛感させられます。むしろ、私のように自分で自分を「オカマ」だ「女装」だと呼び、一般世間に対して「自虐」という名の防御線を張ることの方が古臭い印象すらあります。 これまでの同性愛者をはじめとするマイノリティー差別をなくすという点において、当然この風潮は良い流れと言えるでしょう。一方で、否定された先にある屈折した人格が作り出す不健全な文化の趣というのも、個人的には「捨てがたい」ものであり、それがこの先どんどん少なくなっていくと思うと、どこか一抹の寂しさ