第一次世界大戦前、ドイツ北部にあるプロテスタントの小さな村・アイヒヴァルトを舞台に起こる事件。そこに暮らしていた教師の回想というかたちで進められる物語は、ハネケ監督がこれまでの作品で築いてきた、事件解決のためのサスペンス、不穏な雰囲気、人間の奥に存在する悪意、そして圧倒的な美しさで完璧に構築されたひとつひとつのショット、といった要素がいかんなく盛り込まれている。村を牛耳る男爵と小作人、村の指導者である牧師と子供たち、閉鎖された村に外部者として訪れる教師と、その村で働く恋人のエヴァ。そうしたいくつかの人間関係が絡み合いながら、ひたひたと押し寄せる不安感とともに、閉鎖的な社会における暴力の矛先、そして自分たちのモラルは何かということを突きつけられる。 背景となっている第一次大戦前のドイツという不安定な情勢も、ハネケが目指したイデオロギーの迷走、厳格な教育が人間の意志を放棄させることと、絶望と救
![[CINEMA]「小さなコミュニティの中で進行する怪異、その残酷な内容を論理的に描くミヒャエル・ハネケこそが最も恐ろしい」─『白いリボン』クロスレビュー - webDICE](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/b79e1b9d6d4f6a0ff20ca48c91442d5648b28868/height=288;version=1;width=512/http%3A%2F%2Fwww.webdice.jp%2Farticle_images%2F20101020%2F2677_1287579693_l.jpg)