告白しよう。 ぼくは、小学四年生のころ、親の金を盗んでいた。 ぼくの両親は、栃木でとんかつ専門のレストランをやっていた。なかなか繁盛していたと思う。あまりにも忙しく、一家は生活のほとんどを厨房で過ごしている状態だった。 家とお店は連結しているので、しばしば、爆裂に忙しい厨房のすみっこでカツ丼をかっこみ、昼食や夕食を済ませていた。 「4,800円になりま~す」などという母の声とともに、ジャキーン♪ と心地良い音が鳴る。 レジの引き出しが空き、大量の釣り銭と札が登場する。 よくある風景。お勘定である。 しかし、ある日、クソガキは、ここに目をつけた。 「ウチ、金メチャクチャある」と誤解したんですね。 ウチはなんて金持ちなんだと。それに比べてぼくの小遣い低すぎじゃないかと。当時流行っていた、ミニ四駆「ダッシュ1号・皇帝(エンペラー)」買うのに一ヶ月かかったぞと。 いや本当は、商店なんて、売り上げの